むこうさいしょう

無虹彩症

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概要

無虹彩症とは、目に入る光の量を調整する「虹彩」が、生まれつき欠損している疾患です。虹彩がないために光をまぶしいと感じるようになります。緑内障や白内障を発症し、視力が低下することもあります。

無虹彩症は難病に指定されており、日本での発症頻度は10万人に1人程度であると報告されています。

根本的に病気を治す方法は現在のところ(2018年時点)確立されておらず、対症療法が行われます。

原因

無虹彩症は、代表的にはPAX6と呼ばれる遺伝子の異常により発症すると考えられています。PAX6遺伝子は、他の遺伝子とともに、目を始めとしたさまざまな臓器の発生をサポートすると考えられています。

PAX6遺伝子に異常が生じると、目の発生が障害され、無虹彩症の発症に至ると想定されています。虹彩だけでなく視力に大切な網膜の中心部の発育もよくありません。

遺伝子の異常により発症するとされる無虹彩症ですが、常染色体優性遺伝という形式で遺伝します。この遺伝形式では、両親のいずれかが無虹彩症である場合に、理論的には50%の確率でお子さんにも発症します。

突然変異的に遺伝子異常が生じることもあり、両親が病気でなくとも、お子さんに発症することはあります。遺伝歴がない場合、約3割の子どもに腎臓の悪性腫瘍を併発することがあり、定期的な検査が必要です。

症状

虹彩の欠損により、多くの光が眼の中に入ることから、光をまぶしいと感じるようになります。また、緑内障や白内障といった、さまざまな目の合併症を発症することがあり、目の中でも視力形成に重要な黄斑(おうはん)も障害されているため、よい視力は得られません。また、「眼振」と呼ばれる眼の動きの異常が生じることもあります。眼の症状は、左右両方に出現します。

無虹彩症では、平均して0.2ほどの視力であることが多く、運転免許の取得が困難であることも少なくありません。

検査・診断

無虹彩症では、視力検査や細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査が行われます。細隙灯顕微鏡検査では、虹彩が正常に形成されているかを肉眼的に確認します。また、角膜の濁りや白内障の有無なども同時に確認することができます。

黄斑障害の有無を確認するために、眼底検査や光干渉断層計などの検査も行われます。

無虹彩症の約50%の方は緑内障を併発するため、眼圧検査や視野検査などにより緑内障の有無を確認します。超音波検査やCT検査、MRI検査などの画像検査が行われることもあります。

遺伝子異常により発症する病気であるため、遺伝子検査が行われることもあります。

治療

症状に合わせた治療が適宜行われます。光をまぶしく感じるため、遮光眼鏡や特殊なコンタクトレンズを使用することがあります。白内障や緑内障を発症した場合には、点眼薬や手術による治療が行われます。場合によっては、角膜移植が行われることもあります。

無虹彩症は、難病に指定されているため、症状に合わせた公的サポートを受けることも可能です。サポートを利用しつつ継続的に眼科を受診することが大切です。また、遺伝性を有する病気であるため、遺伝カウンセリングも考慮する必要があります。