概要

特発性浮腫とは、原因不明のむくみのことです。中年の女性に多く、特に下半身のむくみが強くみられます。立った状態でいるとむくみが悪化し、夕方になると体重が2kg程度増えることもあります。

むくみは、血管外にある組織細胞間の“組織間液”と呼ばれる体液が増えることによって生じる症状です。組織間液は腎不全心不全肝硬変などの病気や、薬の副作用などによって増加しますが、特発性浮腫はこれらの原因がなくても発症し、明確なメカニズムは解明されていません。

塩分の制限をしたり、立っている時間を短くしたりすることで症状の改善が期待できます。また、薬を用いた治療を行うこともあります。

原因

むくみの原因は病気や薬の副作用、外傷など多岐にわたりますが、特発性浮腫は明確な発症メカニズムが解明されていません。しかし、血圧や体液量を調整するホルモンバランスの乱れや、自律神経の異常などが発症に関与していると考えられています。

症状

特発性浮腫は1日の中でも特に夕方にむくみの症状が悪化し、朝と夕方では体重が2kg程度変化することもあります。むくみのほか、不安や抑うつなどの精神的な不調を伴うこともあります。また、立った状態でいる時間が長いと悪化し、就寝中に横になることで改善していくと考えられています。

検査・診断

特発性浮腫は病気などが原因となって発症するわけではありませんが、ほかの原因による浮腫との鑑別のために以下のような検査が必要となります。

血液検査

腎機能や肝機能、電解質、各ホルモンなどの数値を調べ、むくみを引き起こす原因がないかを確認するために血液検査を行います。

画像検査

超音波、X線、CTなどによる画像検査を行うことがあります。一般的には血液検査を行って異常があった場合、必要に応じて行われます。

心電図検査、心エコー検査

心不全などの心臓の病気によるむくみが疑われる場合には心電図検査や心エコー検査を行います。

治療

特発性浮腫の治療法としては、塩分の摂取制限や立っている時間を短くしたりするなどの生活改善、弾性ストッキングの着用などが挙げられます。また、ACE阻害薬や利尿薬などの薬が用いられる場合もあります。しかし、利尿薬はなるべく使用しないことが原則です。治療として用いられる利尿薬の過剰な使用が特発性浮腫の原因になっていることもあるため、もし利尿薬を使用する場合には、少量に留めることが大切です。

ACE阻害薬:アンジオテンシンというホルモンのはたらきを抑えることで、血管を拡げ、心臓の負担を軽減したり血圧を下げたりする薬。

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