原因
糖原病は、グリコーゲンに関連した代謝過程に障害から発症する病気です。
食物として口から摂取された糖分は、消化管から吸収され体内に取り込まれます。直近の運動に対して身体が必要とする以上の糖分を摂取すると、身体には余剰分の糖分を蓄えるための機能が備わっており、食事をとっていない時間帯でもエネルギーが枯渇しないで済むようになっています。余剰分の糖分を将来の分として蓄えるための形態が「グリコーゲン」です。身体のエネルギーが必要になった場合には、体内に貯蓄されたグリコーゲンが分解されてエネルギーとして使用されることになります。
グリコーゲンの産生や貯蓄、エネルギーとしての利用は、全体の過程においてはさまざまな種類の酵素が関与していますが、これらの酵素に障害が生じると糖原病が発症することになります。グリコーゲン代謝には主に肝臓と筋肉が大きく関与していることから、糖原病ではこの二つの臓器が大きな影響を受けることになります。
糖原病は、肝臓に障害の出やすいタイプの「肝型糖原病」と筋肉に障害の出やすいタイプの「筋型糖原病」、全身臓器に障害が出現しやすい「全身型糖原病」に分けることができます。また、各型の糖原病は、障害を受ける酵素に応じてさらに細かく分類されています。
肝型糖原病の代表的疾患であるⅠa型糖原病(von Gierke病)は、主にグリコーゲン代謝に関わる酵素異常により発症します。肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解することができなくなり、必要に応じて血糖値を上昇させることができなくなります。また、グリコーゲンは蓄積する一方となり、過剰なグリコーゲンが肝臓に溜まることになります。
筋型糖原病は、肝型糖原病と比較すると症例は少ないとの報告があります。同じくグリコーゲン代謝に関わる酵素異常をもとにして発症します。
全身型として代表的なものはⅡ型糖原病(Pompe病)です。主に、心臓を含めた臓器に障害が生じます。
糖原病は、常染色体劣性遺伝と呼ばれる形式で遺伝します。それぞれの両親が一本ずつ異常な遺伝子を有している場合、お子さんが病気を発症する可能性は25%であり、50%の確率で病気の保因者となります。残りの確率で、発症者でも保因者でもない状態になります。
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