はいどうみゃくけっせんそくせんしょう

肺動脈血栓塞栓症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

肺動脈血栓塞栓症とは、静脈や心臓内でできた血栓(血液のかたまり)が血流に乗って右心系(右心房や右心室を通る心臓での血液の流れ)を通り肺の血管(肺動脈)につまることで胸の痛みや呼吸困難が生じる病気です。

低酸素血症や全身循環が破綻しショック状態に陥り、生命に関わることもあるため重症度・緊急性の高い病気のひとつです。
 

原因

肺動脈血栓塞栓症は、血栓が原因となり生じる病気です。血栓ができる部位としてもっとも多いのは、下肢(太ももの付け根からつま先まで)の静脈です。健康な方が普通に生活していて足に血栓ができることはめったにありません。しかし、以下のように静脈の流れを悪くしたり、血液を固まりやすくしたりすることにより血栓ができるリスクがあります。

そのほか、先天的に血液が固まりやすい病気に罹患している場合(アンチトロンビン欠損症、プロテインC欠損症など)も危険因子のひとつです。
 

症状

主な症状は、呼吸困難・胸痛・呼吸数の増加などです。失神や咳、動悸などもおこることがあります。

症状自体は他の循環器・呼吸器疾患でもみられるものが多いですが、血栓形成の危険因子となるような状況(入院・長距離の旅行中・基礎疾患の有無など)が存在するかどうかが、診断の際に重要となることがあります。
 

検査・診断

診断には主に以下の検査が用いられます。

血液検査

肺動脈血栓塞栓症では、Dダイマーと呼ばれる血液の凝固に関与する値が上昇することが知られており、診断の手がかりとなります。ただし、血液検査のみで診断を確定することはできないため、他の検査結果とあわせて診断をおこないます。

心臓超音波検査

肺動脈血栓塞栓症では、肺動脈の手前にある右心室への負担が増加するため、心臓超音波検査により右心室の状態を調べます。 

造影CT検査

造影剤を用いたCT検査により、肺動脈の血栓の部位や大きさなどを診断することができます。また、胸だけでなく、足まで撮影することにより足の血栓の有無や状態も確認することができます。

肺換気血流シンチ

放射性同位元素により、肺の換気と血流の状態を評価することで、血栓により血流が途絶えている部位を診断することができます。

肺動脈造影

静脈より心臓カテーテルを挿入し、造影剤を用いて肺動脈を撮影します。CT検査、血流シンチと同様に血栓の部位を評価することができます。

下肢静脈超音波検査

肺動脈血栓塞栓症の原因として多い、足の静脈の血栓の有無を調べるために、超音波検査を行うことがあります。
 

治療

肺動脈血栓塞栓症の治療は、血栓を溶かすための治療と、足の静脈にある血栓が肺動脈に入るのを予防する治療が行われます。重症化して循環動態が不安定な場合は人工呼吸器や心肺補助装置による呼吸・循環補助が必要なこともあります。

抗凝固療法

血液が固まりにくくなる薬剤です。内服薬や点滴薬が用いられます。

血栓溶解療法

重症な場合には、血栓を溶かすための薬剤が用いられることがあります。副作用があるため、慎重に適応を判断する必要があります。

カテーテル治療

こちらも重症な場合に限られますが、血管にカテーテルを挿入し、肺動脈の血栓に対して血栓溶解薬の投与や血栓の破砕・吸引を行います。

外科的治療

血栓が広範囲にあり、循環動態が不安定な重症例の場合には外科的に血栓を除去する治療法が選択されることもあります。

下大静脈フィルター

足の静脈にできた血栓がさらに肺動脈につまることを予防するために、心臓に入る手前の下大静脈にフィルターを置きます。永久に留置するタイプと一時的に留置するタイプがあり、病状に合わせて使い分けます。

呼吸・循環補助

重症で、循環動態や呼吸状態が不安定な場合は人工呼吸器や、経皮的人工心肺補助装置(PCPS)による循環・呼吸補助が行われることもあります。
 

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