治療
急性の胃軸捻転症の場合は、外科的処置(手術治療)が第一の選択肢となります。手術では胃の捻転を解除してから、胃を前方のお腹の壁に固定する治療方法などが行われます。近年では、腹腔鏡による手術も行われるようになっています。この方法は、お腹に数か所の小さな穴を開け、そこから腹腔鏡というカメラや器具を挿入して行う手術です。より患者さんの体への負担が少なく術後の回復が早い方法であるとされています。
慢性の胃軸捻転症や、間欠的に捻転が起こる場合では、手術ではなく保存的治療をまず行って改善を図ります。具体的には、胃管を挿入してたまったガスを抜き減圧する、上部消化管内視鏡(胃カメラ)で捻転をもとにもどす、などを行います。
これら保存的治療で改善がみられない場合や、壊死、穿孔(あながあくこと)が起きている場合など、緊急手術を行うこととなります。高齢者の場合は、症状がはっきりしなかったり全身の状態が悪かったりするため、保存的治療が選択される場合もありますが、手術時期が遅れてしまうと致命的となる場合もあるため注意が必要です。
胃軸捻転症の死亡率は15~30%とされており、予後の悪い病気の一つです。続発性の胃軸捻転症の場合には、原因となった病気の治療も併せて必要となります。なお、新生児や乳児に起こる慢性の胃軸捻転症の場合であれば、一般的に、胃が発育して、子どもが立って移動するようになる1歳を過ぎると自然に改善するとされています。幼児期になっても症状がよくならなかったり、捻転を繰り返したりする場合などは、手術が必要になることがあります。
医師の方へ
「胃軸捻転症」を登録すると、新着の情報をお知らせします