症状
胎盤遺残で生じる主な症状は出血です。胎盤が子宮から剥がれると胎盤に流れ込む血管が断裂して出血が生じますが、通常であれば出産後は子宮収縮によって血管も圧迫され、出血が抑えられます。しかし、固着胎盤や癒着胎盤によって胎盤の一部が遺残した場合には子宮収縮が妨げられることで出血量が増え、大量出血(産科危機的出血)の原因になることがあります。
出血の程度は子宮内に残った胎盤の状態によって異なります。子宮が過度に収縮することで子宮口が閉じてしまい、胎盤が娩出できなくなる胎盤陥頓の場合は、子宮内で出血が生じても体外へ排出されづらいため、見かけ上は出血がわずかであることも多くあります。
一方で、胎盤が子宮壁から剥がれない胎盤遺残では、胎盤全体が完全に子宮の壁に癒着している場合に出血をほとんど認めないこともあります。しかし、胎盤の一部が癒着している場合は、子宮収縮が妨げられるため胎盤剥離部からの出血が持続し、ときに大量出血となります。
出血のほか、胎盤遺残は子宮内感染を招きやすいといわれており、出産後の発熱や下腹部痛の原因にもなります。
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