インタビュー

O-157による腸管出血性大腸菌感染症の原因・感染経路

O-157による腸管出血性大腸菌感染症の原因・感染経路
松本 哲哉 先生

国際医療福祉大学 医学部感染症学講座 主任教授

松本 哲哉 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年03月18日です。

記事1『O-157による腸管出血性大腸菌感染症の予防』では、O-157による腸管出血性大腸菌感染症の予防についてご説明しました。本記事では、O-157による腸管出血性大腸菌感染症の原因と感染経路について、国際医療福祉大学医学部感染症学講座の松本哲哉(まつもと てつや)先生にお話を伺います。

O-157は、あくまで大腸菌の一種です。菌が持つO抗原には180以上の種類がありますが、そのうち157番目のO抗原のタイプを「O-157」と呼んでいます。

検査の際には、O-157という血清(血液が凝固したとき上澄みにできる淡黄色の液体成分)をあてて反応を確認します。

 

下痢便のグラム染色所見
 O-157感染症患者の下痢便のグラム染色所見 便中に多くの白血球と貪食されたグラム陰性桿菌が認められる。

 

O-157の菌コロニー所見
培地上に発育したO-157を見分けることができる培地を用いて培養し、菌コロニーの色調等でO-157かどうかの鑑別が可能である。

体内に入る菌量は、感染症を引き起こすかどうかの重要なファクターになる可能性があります。O-157は、食中毒の原因となる菌のなかでも、かなり少量で感染を起こしやすいといわれています。

O-157による腸管出血性大腸菌感染症の感染経路は、元をたどれば牛肉の汚染が多いです。

基本的に牛は腸内にO-157を持っており、解体作業の行程で牛肉の表面にO-157が付着します。(=牛肉汚染)その後、牛肉は食品工場へ運ばれ、加工される行程でほかの食品にO-157が移る可能性もあります。

牛を放牧している場所で土壌が汚染して、近くで育てている野菜がO-157に汚染することもあります。また、O-157に感染した人が調理をして食材を汚染させた結果、その料理を食べて感染することもあります。

牧場に放牧された牛

統計的にO-157の感染の頻度が高い場所は、店舗型飲食店です。しかしながら家庭内、学校や園、屋外の飲食店など、場所を問わず感染のリスクは常に存在します。

  • 国際医療福祉大学 医学部感染症学講座 主任教授

    日本内科学会 認定内科医日本感染症学会 感染症専門医・指導医日本臨床検査医学会 臨床検査専門医 ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター日本臨床微生物学会 日本臨床微生物学会認定医

    松本 哲哉 先生

    1987年に長崎大学医学部を卒業後、同附属病院第2内科へ入局。1993年に長崎大学大学院を修了し、東邦大学医学部微生物学講座にて助手を務めたのち、2000年より米国ハーバード大学へ留学。微生物学を専門とし、第一線で活躍する。2018年より現職。

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