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血管拡張性肉芽腫

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

血管拡張性肉芽腫とは、主に毛細血管が増えることで生じる皮膚の結節を指します。比較的頻度の高い病気であり男女共に幅広い年齢層でみられますが、妊娠と関連して発症する病気であることから若い女性にみられることも多いです。

血管拡張性肉芽腫は、赤みの強い腫瘤性(こぶのような)病変です。数日のうちに1cmほどの大きさになりますが、痛みなどの自覚症状を伴うことは通常ありません。しかし、血管が豊富な腫瘍であるため容易に出血し、なかなか出血が止まらないことが問題となる可能性もあります。好発部位は首や指先などであり、口の中にできることもあります。

自然治癒が難しい腫瘍であり、部位によっては審美性に問題が生じることもあります。そのため、手術やレーザー、液体窒素の利用などを適宜選択のうえ、病気による変化が起きている部位の切除が検討される病気です。

原因

原因は完全には明らかになっていません。しかし、皮膚や粘膜の毛細血管が異常に増殖することで発症する病気であることから、血管増殖に関わるタンパク質の異常が想定されています。また、細胞の情報伝達経路の一種であるRAS-MAPKと呼ばれる経路も、異常血管増殖に関与しているのではないかと推定されています。

そのほかにも、小さな傷をきっかけにして腫瘍性病変が形成されることが想定されています。骨髄移植の治療では皮膚粘膜が障害を受けることも多いですが、治療によって生じた粘膜病変がきっかけとなり血管拡張性肉芽腫が生じたとする報告もあります。

妊娠期間中の女性にみられることも多い病気であることから、ホルモンとの関連性も推定されています。ウイルスや細菌感染、薬剤などとの関連性も疑われています。

しかし、これらが血管拡張性肉芽腫の発症原因としてすべて説明できるわけではありません。原因を完全に解明するためにもより一層の研究が必要とされています。

症状

血管拡張性肉芽腫は、痛みを伴わない皮膚の小さな赤みや茶色の点のようなものからはじまります。数日から数週間の経過で徐々に大きくなり、最終的には1~2cmほどまでの大きさに成長します。腫瘍性病変の根元の部分は、茎のような形で皮膚に付着していることが多いです。

血管拡張性肉芽腫は、毛細血管の増殖が基盤となった腫瘍です。毛細血管の中には血液が流れている関係から、血管拡張性肉芽腫は赤色や茶褐色など、血液の色を反映した色調を呈します。

首や指先などが好発部位で、皮膚以外にも口の中などの粘膜に生じることもあります。粘膜に生じるものは、特に成人女性にみられることが多いです。

病変は、自然に退縮することはまれです。また、ごく軽微な外力によって簡単に出血をきたし、なかなか血が止まらないことも特徴です。出血後に潰瘍形成(かいようけいせい)に至ることもあります。血管拡張性肉芽腫では日常生活のなかで出血を何度も繰り返すことから、生活に大きく支障をきたすことになる場合もあります。

検査・診断

診断は、病変の発症様式を詳細に聴取することからなされます。完成した皮膚病変を詳細に観察することも大切であり、ダーモスコピーと呼ばれる器具を用いて評価することもあります。

血管拡張性肉芽腫が、皮膚がんをはじめとした他の病気と紛らわしいこともあります。診断を確実にするために、皮膚の一部を採取して顕微鏡で確認する病理検査と呼ばれる検査がおこなわれることもあります。

治療

血管拡張性肉芽腫は良性の腫瘍ですが、何度も繰り返し出血すること、潰瘍形成をきたす可能性があること、また美容的な審美性が損なわれることなどの不具合が生じます。自然治癒もあまり期待できないため、これらに対応するために治療が行われます。

治療の中心は、血管拡張性肉芽腫の病変(病気による変化が起きている箇所)を手術的に切除する方法です。メスを用いて切除する方法に加えて、液体窒素を用いて病変部位を取る方法、レーザーを用いる方法などもあります。

手術による切除では、切除検体を用いて病理学的な検査を行うことも可能であるため、がんなどの可能性を否定することもできます。ただし、麻酔の必要性や切除部位の瘢痕(はんこん)形成が問題になることもあります。

液体窒素による治療方法は複数回の治療が必要ですが、麻酔を用いる必要がありません。

実際にどの治療方法が行われるかは、病変が生じた部位や大きさ、再発の可能性、患者さんの希望、年齢などを考慮して決定されます。

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