りゅうきせいひふせんいにくしゅ

隆起性皮膚線維肉腫

最終更新日:
2020年03月27日
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2020/03/27
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概要

隆起性皮膚線維肉腫(りゅうきせいひふせんいにくしゅ)とは、皮膚にできるがんの一種です。皮膚の深層にある“真皮”を構成する線維芽細胞と呼ばれる細胞から発生することが多く、発症すると皮膚の奥にしこりができます。さらに進行すると球状やキノコ状の大きな硬いしこりとなって皮膚から突出するようになります。

隆起性皮膚線維肉腫の発症率は100万人に1~5人と非常にまれな病気ですが、20~50代の男性が発症しやすいとされています。治療は基本的に手術による切除が行われますが、再発しやすい性質があるため腫瘍(しゅよう)を含めて広範囲に周辺の組織を切除することが必要です。他部位に転移することはまれですが、再発を繰り返すと悪性度(転移したり再発したりする危険性の程度)が増すことがあるため、治療後も慎重な経過観察が必要となります。

原因

隆起性皮膚線維肉腫の明確な発症メカニズムは解明されていない部分も多いのが現状です。しかし、病変を詳しく調べた結果隆起性皮膚線維肉腫の大部分には、血液中の細胞のもととなる“造血前駆細胞”の表面に多く見られる“CD34”という糖たんぱくがあることが分かっています。

また、隆起性皮膚線維肉腫の90%では“COL1A1-PDGFB 融合遺伝子”という特殊な遺伝子が発現し、融合たんぱくが作られます。このような遺伝子の変異が発症に大きく関わっていることが示唆されています。

症状

隆起性皮膚線維肉腫は皮膚の深層から発生するがんです。このため、発症すると皮膚の奥に硬いしこりができ、触れるようになります。通常、痛みなどはないため発症に気づかなかったり、しこりに気づいていながら放置されたりするケースもあります。しかし、しこりは数か月~数年かけて徐々に大きくなり、球状やキノコ状の結節(組織の硬い塊)となって皮膚の表面に突出するのが特徴です。突出した結節の表面の皮膚は暗赤色や紫色に変色していることが多く、びらんやかさぶたなどを伴うことも少なくありません。

なお、隆起性皮膚線維肉腫は、体幹部(胴体)に生じることが多いですが、腕や脚、頭部、首に生じることもあります。しこりが複数個できることはほとんどなく、他部位に転移するのは5%ほどとまれですが、手術で切除しても同じ部位に再発を繰り返しやすいのも特徴のひとつとされています。

検査・診断

隆起性皮膚線維肉腫の確定診断には、しこりの組織を採取(生検)して顕微鏡などで詳しく観察する“病理検査”が必要となります。この病気の検査では組織の特徴を調べるだけでなく、上で述べたように病変に“CD34”と呼ばれる糖たんぱくがあるかどうかを調べるのが一般的です。

通常は、病理検査を行えば確定診断を下すことができますが、次のような検査を同時に行うことがあります。

CT、MRI検査

しこりの大きさや範囲、骨や筋肉などへのダメージを詳しく調べるための検査です。

手術の切除範囲などを決めるためにも必要な検査であり、隆起性皮膚線維肉腫が疑われた際にはほとんどのケースで実施されます。

遺伝子検査

隆起性皮膚線維肉腫の90%以上はCOL1A1-PDGFB 融合遺伝子と呼ばれる特殊な遺伝子を持っています。このため、病理検査などではっきりした診断が下されないケースでは、限られた施設において遺伝子検査を行うこともあります。

治療

隆起性皮膚線維肉腫の治療は基本的に手術による切除です。この病気は再発を繰り返しやすいため、単に病変部分を切除するのではなく、病変組織が広がっている可能性のある周辺部位まで広範囲に切除しなければなりません。切除後は欠損した部位に対して植皮を行うことが多いため、皮膚にくぼみができるなど美容上の問題を残すことがあり、手術後にくぼみなどを治す手術を行うケースもあります。

一方で、がんの原因となることが特定されているたんぱく質のはたらきを抑える“分子標的治療薬”の一種である“イマチニブ”は、隆起性皮膚線維肉腫に一定の効果があることが報告されています。そのため、手術が難しいようなケースではイマチニブの投与が行われることもあります。

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