概要
雀卵斑とは、病名のとおり雀の卵の模様に似たしみで、いわゆる“そばかす”といわれるものです。顔面の鼻を中心に、両頬にかけて左右対称に直径2~3mmほどの細かい粒状の茶色の斑点が広がってみられます。
一般的にしみと称されるものはメラニン色素の沈着によって起こり、原因や症状に応じて、老人性色素斑や肝斑、後天性真皮メラノサイトーシス、炎症後色素沈着、雀卵斑など、さまざまな種類があります。このうち、雀卵斑は遺伝的な要因によって生じるもので、特に肌の色が白い方にできやすく、幼少期に発症して思春期になると目立つようになります。また、夏季は紫外線によって色が濃くなり、冬季には薄くなる傾向があります。悪性化することはありません。
レーザー治療や光治療(IPL:intense pulsed light)が有効ですが、紫外線を浴びることで再発することがあります。
原因
雀卵斑は色素細胞(メラノサイト)の異常によって生じます。紫外線を浴びると、肌を紫外線から守るために色素細胞からメラニン色素が作られます。通常はターンオーバー(新陳代謝)を繰り返し新しい細胞に生まれ変わるため、メラニン色素は排出されます。しかし、雀卵斑の場合はメラニン色素が過剰に産生されるため、皮膚内にメラニン色素が過剰に蓄積します。
また、雀卵斑は家族内発症が多く、色素細胞を刺激するホルモン生成に関わる“メラノコルチン1受容体(MC1R:melanocortin1 receptor)“という遺伝子が発症に関与しているといわれています。
検査・診断
雀卵斑の症状は特徴的なため、通常は目で見て診断することが可能です。
なお、雀卵斑との鑑別が重要な病気として遺伝性対側性色素異常症(遠山)が挙げられます。遺伝性対側性色素異常症(遠山)は日本人をはじめアジア人に多く発症し、幼少期に顔面に雀卵斑様の皮疹が生じるほか、手背および足背にも5mmほどの色素斑が点在し、さらに脱色素斑もみられることが特徴です。
治療
メラニン色素のみを破壊するレーザー治療(Qスイッチレーザー、ピコ秒レーザーなど)や、広域帯の波長を発振してメラニン色素などに反応するIPL(intense pulsed light)治療を行います。
レーザー治療では、照射後に黒いかさぶたができ、かさぶたが剥がれるとともにメラニン色素も取れます。1~2回程度の治療で対応できる反面、治療後の赤みなどが落ち着くまでに日数がかかる(ダウンタイム)ほか、レーザー照射による炎症後に色素沈着が起こりやすいというデメリットがあります。
一方、IPLは細かいかさぶたがわずかにできる程度のため、ダウンタイムはほぼありませんが、1か月おきに5回程度は治療を受ける必要があります。
また、メラニン色素の生成を抑えるために、ビタミンCやハイドロキノンなどメラニン色素の生成を防ぐ成分を含有した外用薬を用いて治療を行うこともあります。
予防
雀卵斑の治療を行っても、紫外線を浴びると再発することがあるため、日ごろからスキンケアや紫外線対策を行うことが重要です。紫外線が強い時間帯(10~14時)を避けて外出するほか、日焼け止めクリームをこまめに塗りなおしたり、日傘をさしたりするなど、紫外線対策をして過ごすことを心がけましょう。
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