ろうじんせいしきそはん

老人性色素斑

同義語
日光黒子,日光性黒子
最終更新日:
2021年03月22日
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2021/03/22
更新しました
2017/04/25
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概要

老人性色素斑とは、いわゆるしみの1種です。褐色から黒色の1cm前後の色素斑であり、主に紫外線を浴びることの多い顔や手の甲などに生じます。年齢とともに認める頻度が増え、60歳代以降では目立つようになります。中には20歳代で色素斑を呈する方もいます。

老人性色素斑そのものにより健康を損なうことはありませんが、中には悪性黒色腫を代表とする悪性疾患との鑑別が必要になることもあります。また、美容的な面で影響を与えることから、治療を希望される方もいます。

老人性色素斑は、盛り上がりが大きくなると“脂漏性角化症”と呼ばれ、腫瘍性病変(しゅようせいびょうへん)としての側面を有するため、レーザー治療による破壊・除去が有効です。そのほかトレチノイン・ハイドロキノン療法や、フォトセラピーと呼ばれる方法もあり、状況に応じて適宜使い分けることになります。

原因

老人性色素斑はもっとも代表的なしみで、角化細胞(皮膚の表面を覆う細胞)の良性腫瘍です。角化細胞が紫外線に当たるとDNAに異常をきたし、良性腫瘍化します。角化細胞の腫瘍化に加えて、メラニン産生も増加することで“しみ”として認識されることになります。老人性色素斑は紫外線の照射により出現するため、日光に当たりやすい部位、特に顔や手の甲、腕などに多く発生します。

症状

老人性色素斑はしみの1種であり、褐色調から黒色調の色素斑を認めます。紫外線を浴びることが原因の1つであることから、顔や腕、手の甲などに認めることが多いです。大きさもまちまちであり、数mmほどの大きさであることもあれば、5cmくらいまでの大きさになることもあります。

老人性色素斑が、通常の皮膚と比べて悪性化する頻度が高いというわけではありません。しかし、中には悪性黒色腫と呼ばれる悪性疾患との鑑別が必要となることもあります。悪性黒色腫は、皮膚色素の色全体が不均一であり、周囲の皮膚との境界も不明瞭で不整です。周囲の正常の皮膚と比べて色素部位が盛り上がりを呈することもあり、形も非対象性です。老人性色素斑と悪性黒色腫は、どちらも“皮膚のしみ”としての症状を引き起こしますが、治療方法がまったく異なるため両者を鑑別することは重要です。

また、老人性色素斑と同じくしみの代表格として、肝斑と呼ばれるものがあります。肝斑は老人性色素斑と異なり腫瘍ではありません。皮膚への摩擦、紫外線、女性ホルモン、加齢が原因でメラノサイトが過剰産生されることにより発生します。メラノサイトは、妊娠中にも増えます。30歳代〜60歳代の女性に見られ、頬や目の下、額などに左右対称に薄茶色のしみとして現れます。一般的なレーザーを肝斑に照射しても不変であったり増悪したりするため、最初に老人性色素斑と肝斑を見分けることも重要となります。

検査・診断

老人性色素斑の診断は、基本的には見た目の特徴からなされます。ただし、ときに悪性黒色腫を始めとした悪性疾患との鑑別が必要となることもあります。より詳細に皮膚を観察するために、ダーモスコープと呼ばれる拡大鏡を用いることがあります。この器具を使用することで、皮膚の病変部位をより詳細に観察することが可能となります。

治療

老人性色素斑はレーザーで破壊・除去します。

レーザーを使いたくない方は、“トレチノイン・ハイドロキノン療法”という方法で薄くすることも可能です。また、“フォトセラピー”という方法もあります。フォトセラピーは濃いしみを薄くするのに利用される治療法で、肌へのダメージが少ないという特徴があります。

老人性色素斑では、同じくしみの代表格である肝斑を合併することがあります。肝斑に対してレーザー治療を行うとしみが増悪することもあるため、両者が混在している状況では第一選択としてレーザー治療を照射することはできません。このような場合、まず肝斑の治療を行います。

具体的にはトラネキサム酸の内服にピーリングやイオン導入、ときにレーザートーニングを組み合わせて肝斑を治療します。その後、レーザーで残った老人性色素斑を取ります。

老人性色素斑の治療は、自由診療となることから医療費が高額になります。そのため、自身にとって適切な治療法を医師に相談し、納得したうえで治療を進めていくことが必要です。

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