概要
青色ゴムまり様母斑症候群とは、皮膚や消化管などの静脈に異常が起こる極めてまれな病気です。通常、出生時から小児期に発症しますが、成人になってから診断されることもあります。皮膚の静脈が青黒く膨らみ、ゴム乳首のような形や感触となることから命名されました。
病気の原因として、血管の形成に関わる遺伝子の異常が考えられています。しかし、大規模の研究での確認には至っておらず、原因は明らかではありません。
特徴的な症状は、血管が膨らむことにより皮膚に0.1~5cm程度の青~黒色の膨らみが現れることです。膨らみにはゴムまりのような弾力があります。皮膚だけでなく、胃や小腸や大腸などの消化管の血管にも同じような異常が現れるため、出血によって吐血や下血を起こし、貧血が引き起こされる場合もあります。
治療は、出血への対応として止血薬が使用されます。大量に出血した場合には、輸血や内視鏡的治療、外科的治療が行われる場合もあります。また、近年治療薬として承認された分子標的薬(mTOR阻害薬)が使用されることもあります。
原因
青色ゴムまり様母斑症候群が発症する原因は、現時点では解明されていません。一部の患者では、血管の形成や成長、修復などに関係するTEK遺伝子などの異常が関連する可能性が示唆されていますが、これは限られた症例での報告に留まります。多数の患者を対象とした大規模の研究では確認されておらず、原因遺伝子としては確定していません。また、多くの患者の場合、家族に同じ病気の方がいないことから、遺伝とは関連がないとする報告もあります。このように、病気の発症メカニズムについては、現在も研究が進められている段階です。
症状
青色ゴムまり様母斑症候群の特徴的な症状は、皮膚に現れる0.1~5cm程度の青~黒色をした血管の膨らみです。触るとゴムまりのような弾力があります。膨らみは全身の皮膚に現れますが、特に胴体や腕・手に多く、成長によって数が増加したり、大きくなったりします。自然に消失することはないとされています。
また、皮膚だけでなく、消化管にも同じような症状が現れます。口や舌などを含む幅広い部位に現れ、特に小腸や大腸に生じることが多いとされています。消化管で出血が起こると、吐血や下血を起こしたり、慢性的な貧血が引き起こされたりする場合があります。血管内で血の塊(血栓)や小さな石ができると、痛みを感じることもあります。
症状は、肝臓や心臓など他の臓器にも広がることあります。血管の膨らみが気管や大腸などを塞いだり、病変が臓器を圧迫したり、臓器の出血が合併した場合などでは、命に関わる場合もあります。
検査・診断
青色ゴムまり様母斑症候群が疑われる場合には、血液検査が行われます。血液成分の測定結果で全身の出血傾向を把握することができます。貧血や血栓の有無などを検査結果から確認します。
また、胃や小腸にカメラを入れる内視鏡検査やカプセル内視鏡検査を行い、消化管での出血などを調べます。全身の臓器の病状を把握するために、CT検査やMRI検査などの画像検査が行われる場合もあります。
治療
消化器の出血への対応として止血薬が使用され、貧血が続く場合には鉄剤が使われます。大量に出血した場合には、輸血が必要となる場合もあります。
消化管の急な出血がみられた場合には、内視鏡下での止血(薬を注入して血管を固めたり、レーザー照射による熱で固めたりするなど)や外科的切除などの手術が行われます。
また、血管内に血の塊や小さな石ができて痛みを伴う場合には、弾性ストッキングなどで足を強く圧迫して血流を促す方法があります。
青色ゴムまり様母斑症候群は原因が明らかにされていないことから、根本的な治療は確立されていません。場合によって、ステロイドやインターフェロンなどが使用されます。近年、シロリムスという内服薬が青色ゴムまり様母斑症候群の治療薬として承認され、使用可能となっています。
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