概要
鼻咽腔血管線維腫とは、鼻咽腔内に生じる良性腫瘍のひとつです。
良性であるものの、大きくなると周辺の組織に進展し、骨を破壊することもあるため、さまざまな症状が引き起こされます。また、進行すると頭蓋内まで広がることもあるため、早期発見・早期治療が重要です。
鼻咽腔血管線維腫は非常にまれな病気で、女性よりも男性に多く発症するといわれています。このため、発症には何らかの性ホルモンが関与していると推察されています。
原因
発症の明確なメカニズムは解明されていません。しかし、罹患者の多くが思春期の男性であるため、発症には性ホルモンが関与していると考えられています。
具体的な説としては、鼻咽腔内に性ホルモン依存性の組織が存在し、性ホルモンに異常反応を起こすことで血管線維腫を形成するというものです。また、頸動脈周辺の神経組織が性ホルモンのバランス異常により異常発育を生じるという説などもあります。
症状
鼻咽腔血管線維腫は、発生する場所や周辺組織への進展の程度によって症状が大きく異なります。
鼻咽腔の周辺には副鼻腔や頭蓋骨、鼻腔などさまざまな重要構造があり、この重要な構造に進展して大きくなると非常に重篤な症状を引き起こすこともあります。
一般的な症状としては、鼻づまりや鼻血、鼻漏などの症状があり、これらは初期の頃からみられます。一方、腫瘍が耳管などに進展すると難聴を生じ、顔面骨や頭蓋骨を破壊しながら大きくなると、頬の腫れをはじめとした顔面の変形、眼球突出、視力低下などさまざまな症状が現れます。
10~20%で頭蓋底を通して頭蓋内に進展するといわれており、この場合にはさまざまな神経症状がみられるようになります。
検査・診断
診断には後鼻鏡や内視鏡などによって鼻咽腔に腫瘍の存在を確認する必要があります。
見た目は赤みを帯びた腫瘤(こぶ)として観察され、発症年齢や性別などから鼻咽腔血管線維腫が疑われます。一般的には、腫瘍の種類を見極めるために腫瘍組織の一部を病理検査し、確定診断をおこないます。
また、鼻咽腔血管線維腫はさまざまな方向へ伸展するため、病変の広がりを確認するために、CT検査やMRI検査が行われます。
さらに、腫瘍への血流を確保している栄養血管を特定するために造影剤を用いた血管撮影が行われることがあります。ただしこの検査は、カテーテル治療で腫瘍に栄養を送る血管への塞栓療法が予定される場合には術前に行われます。
治療
手術による切除と放射線治療が主体となります。手術は腫瘍の位置や大きさ、広がりによって難易度が大きく異なります。
術前の血管撮影検査で腫瘍への血流が多いと予想される場合には、事前に栄養血管を塞栓するカテーテル治療が行われます。
一方、頭蓋内にまで腫瘍が広がっているような手術が困難なケースには、放射線治療が積極的に行われます。
また、腫瘍を小さくするためにエストロゲンやテストステロンなどの性ホルモンが投与されることがあります。これはあくまで完治を目的にした治療ではなく、手術の前後や放射線治療の補助として行われるものです。
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