概要
寝違えとは、睡眠中に首や肩に過度の負担がかかる体勢を取ることで、睡眠から醒めたときに、首から肩にかけて痛みが生じている状態です。数時間で改善する軽度な痛みの場合もあれば、数日にわたって首が動かせなくなるほどの痛みが生じることもあります。
寝違えの多くは椎間関節の障害と考えられています。しかし、中には頚椎椎間板ヘルニアなどの病気が原因のこともあるため、長く症状が続くときや頻繁に寝違えが生じる場合には注意が必要です。
原因
寝違えでは、X線やCTなどの画像検査で異常がみられないことがほとんどであり、どのようなメカニズムで痛みが生じるのか明確には解明されていません。
しかし、睡眠中、長時間にわたって無理な姿勢を取ることで、首や肩の筋肉が圧迫されて筋肉の一部の血行が低下することや、枕の高さがあっていないために首の骨に負担がかかり椎間関節の関節包や靱帯に炎症が生じることなどが原因と考えられています。
また、寝違えを誘発するほかの要因としては、睡眠中に体が冷えて血行が悪くなることや、前日の過度なスポーツ、長い時間前傾姿勢でスマートフォンを操作することによる筋肉の疲労なども挙げられます。
症状
寝起きに首を動かすと、首や肩にかけて筋肉痛のような鈍い痛みが生じます。特に決まった方向を向くときに痛みが強くなり、首を傾けるような姿勢になります。
通常は首から肩にかけての痛みは数日以内に治まりますが、重度な寝違えの場合には、安静時でも首が痛んだり、腕や肩が重苦しく感じたり、しびれが生じたりすることがあります。
検査・診断
まずはX線やCT、MRIなどの画像検査が行われます。寝違えでは画像検査で異常が認められないことがほとんどですが、寝違えと類似した症状を引き起こす頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症などとの鑑別を行うことが可能です。また、関節リウマチが疑われる場合には、血液検査でリウマチ因子(リウマトイド因子)などを調べることもあります。
治療
寝違えは、治療をしなくても自然と治ることがほとんどです。多くは痛みを生じる方を向かない、首をなるべく動かさないなどの対策をすることで、症状改善までの時間を短縮することが可能です。
しかし、痛みが強い場合や首が動かせないような場合には、消炎鎮痛薬や筋弛緩薬の内服、湿布の貼付など対症療法が行われます。また、痛みがある部位の筋肉に局所麻酔薬を注射して痛みを和らげる治療が行われることもあります。
- 寝違え 日本整形外科学会
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