SPan-1

SPan-1

膵臓
胆道
肝臓
血液検査
血液を採取し、その中に含まれる物質などを測定する検査です。
鑑別診断
この検査だけで病名を確定することはできませんが、異常の有無やどのような病気が考えられるかなどを知ることができるものです。検査結果に応じて、さらに検査が追加される場合があります。
フォローアップ
治療の効果や、病気の経過を知るために行われる検査です。定期的に繰り返して実施されることもあります。
スクリーニング
ある特定の病気について、その可能性があるかどうかを広く知るために行われる検査です。具体的な診断をするためにはさらなる検査を必要とします。また、健康診断などで用いられることもあります。
Icon close

基準値・基準範囲(出典元:エスアールエル詳細)

※検査機関・検査方法によって異なる場合があります。

  • 30U/mL以下

SPan-1は、がんの存在を示す目印になる腫瘍マーカーのひとつです。腫瘍マーカーとは、がん細胞が作り出す物質のことで、がんの発生にともなって増えるようになるため、血液中などに含まれる量をみることで、がんの有無や進行度などを判断する手がかりにすることができます。

SPan-1は膵がん、胆道がん、肝がんの3つに特異性が高く、このようながんの診断や、治療効果の判定、再発のモニタリングなどに用いられます。

SPan-1などの腫瘍マーカーは、がんの診断によく用いられますが、通常はがんがある程度大きくならないと数値が上昇しません。そのため、早期のがんでは発見できない場合が多くあります。

また、がん以外の病気で陽性となる場合もあり、SPan-1では膵炎、肝炎、肝硬変などで陽性を示すことがあります。このような性質から、腫瘍マーカーはあくまで診断の補助手段にすぎず、診断を確定するには精密検査が必要となります。

SPan-1の測定は、主に膵がんや胆道がん、肝がんが疑われる場合に行われます。また、人間ドックのオプション検査項目に含まれている場合もあります。ただし、SPan-1などの腫瘍マーカーだけで、がんの有無や進行度などが確実に分かるわけではありません。

また、SPan-1はがん治療を受けている方に対して治療の効果を判定する目的や、治療後に再発の有無を確認する目的で測定されることがあります。

検査前に注意すべきことは特にありません。

検査前に心がけるとよいこと

SPan-1は、血液検査で採取した血液を用いて測定します。採血の妨げにならないよう、検査当日は袖周りにゆとりのある服装を心がけるとよいでしょう。

健康診断で行う採血と同様、数分程度で終わることがほとんどです。針を刺す際に痛みを感じますが、痛みも一般的な採血時と同程度だと考えられます。

SPan-1の検査結果は数値で表され、基準値は30U/mL以下が一般的です。これよりも高い場合は陽性の判定となります。ただし、検査方法や検査機関によっては基準値が異なる場合もあるため、結果については医師からの説明をよく聞くようにしましょう。

SPan-1が基準値を超えた場合には、膵臓、胆道、肝臓などにがんがある可能性があるため、より詳しく調べるための精密検査が実施されることが考えられます。

精密検査の内容は疑われるがんの種類によって異なりますが、行われることの多いものに超音波検査、CT検査、MRI検査、組織を採取する生検(病理検査)の4つがあります。また、必要に応じてMR胆管膵管撮影(MRCP)や内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)が行われる場合もあるでしょう。いずれにしても、検査の内容はSPan-1だけでなくほかの腫瘍マーカーや症状などから総合的に判断して決定されます。

また、SPan-1はがん治療の効果判定のために用いられることもあります。しかし、SPan-1だけで判断することはできず、ほかの腫瘍マーカーや画像診断など、さまざまな検査結果をみる必要があります。そのため、治療中に測定したSPan-1が基準値を超えていても、総合的にみて経過が良好と判断される場合もあります。その場合は特別な対処がなされず、現行の治療や経過観察が続けられることも考えられます。

SPan-1などの腫瘍マーカーは、血液検査で比較的簡単に測定できることから、がんの診断によく用いらますが、この検査のみで診断を確定することはできません。診断を確定するには精密検査が必要なため、SPan-1が基準値を超えた場合には精密検査を受けるようにしましょう。精密検査の結果からがんの存在が否定された場合でも、定期的にがん検診を受け、万が一の場合の早期発見につなげることが大切です。治療を受けている方においては、医師の指示に従って治療を行い、自己判断で中断することのないようにしましょう。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。