目次
喉頭は喉仏のところにある器官で、この部分を内視鏡で観察する検査を喉頭内視鏡検査といいます。
喉頭は発声や食べ物の飲み込みをスムーズに行うという重要なはたらきを持つ器官であることから、何らかの機能的な異常があると、声が出にくい、声がかすれる、食べ物が上手く飲み込めない(嚥下)などの症状がみられるようになります。
また、喉の痛みや血痰(痰に血が混ざること)などの症状がある場合には、喉頭の炎症や腫瘍といった病気の可能性も疑われます。このような声や喉に関する症状がある場合に喉頭内視鏡検査が行われます。
この検査では、咽喉を中心に喉の重要な部分の形状や左右対称性、運動障害の有無、腫瘍の有無などを観察して原因を探っていきます。
簡易に行える検査に、喉頭を観察する喉頭鏡検査がありますが、この検査では喉頭を詳しく観察することができません。喉頭内視鏡検査では直径3mm程度の細いカメラを鼻から挿入し、映像として直接見ることができるので、運動障害や病気の有無などを詳細に調べることができます。検査前に表面麻酔薬のスプレーなどを使用し鼻腔を麻酔するので、まれに薬の副作用が出ることもありますが、検査自体は痛みや体への負担が少なく安全です。
上で述べたように、声や喉の症状があり喉頭の運動障害や病気が疑われる場合に、喉頭内視鏡検査が実施されます。ただし、この検査だけで病名がはっきり決まるとは限らず、より詳しく調べるためにほかの検査が追加されることが多くあります。
また、病名がすでに分かっている場合にも、リハビリテーションや治療の効果を評価するために検査が行われたり、術前・術後に行われたりすることもあります。
検査前に特別注意すべきことはありません。
喉頭内視鏡検査では、鼻からカメラを挿入する前に、表面麻酔薬のスプレー(リドカイン)などで鼻腔を麻酔したり、止血作用や鼻粘膜の充血・腫れを抑える薬などを使用したりすることが多くあります。そのため、以前にこのような薬で副作用を起こしたことがある方は注意が必要です。副作用が出たことがある方は、必ず事前に申し出るようにしましょう。
特別心がけるとよいことはありませんが、まれに使用する薬の副作用として眠気、不安、興奮、悪心・嘔吐、発疹などが現れる場合があるため、検査中・検査後に何らかの異変を感じたら、すぐに医師やスタッフに伝えるようにしましょう。
検査にかかる時間は長くても5分程度です。カメラを鼻から挿入しますが、催吐反射(おえっとなる反射)は少なく、ほとんどの場合痛みも伴いません。
検査の結果については、検査後に口頭またはカメラで撮影した画像を見ながら医師から説明を受けることになり、基本的には検査当日に結果が分かります。
喉頭内視鏡検査は、喉頭の病変を探すうえで非常に役立つ検査ですが、これだけで病気が確定できない場合も多くあります。その場合には、何らかの追加の検査が実施されるでしょう。
追加で行われる検査として、声帯の振動を観察する喉頭ストロボスコピー検査、嚥下内視鏡検査、X線透視検査、CT、MRI、超音波検査といった画像診断のほか、音響分析、生検などさまざまなものが挙げられ、疑われる障害・病気によって異なります。たとえば、音声障害があれば音響分析、腫瘍があれば良性と悪性を鑑別するために生検が行われるでしょう。
喉頭内視鏡検査で診断がつくこともあります。診断が確定した場合のその後の対応として、病気によっては薬物療法などの治療が検討されることが考えられます。
また、音声障害や嚥下障害ではほかの検査と組み合わせて診断が確定すると、リハビリテーションが検討される場合もあります。
喉頭内視鏡検査を行った後の流れとしては、追加の検査や経過観察、薬物治療、手術、リハビリテーションなどさまざまです。後日に再受診または通院が必要と判断された場合には、忘れずに受診するようにしましょう。
また、過度の喫煙や飲酒、大声、乾燥した空気を避けるなど、日常生活上の注意点がある場合が多く、薬物治療では薬の服用についての指導がなされることも考えられます。いずれの場合でも医師の指示に従って行動するようにしましょう。
本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。