インタビュー

変形性関節症の患者さんなどに実施される人工関節置換術とは? 手術の種類や人工関節を画像で紹介

変形性関節症の患者さんなどに実施される人工関節置換術とは? 手術の種類や人工関節を画像で紹介
石井 政次 先生

済生会山形済生病院 副院長

石井 政次 先生

この記事の最終更新は2017年09月19日です。

関節の軟骨(骨と骨の隙間)がなんらかの原因で傷んだりすり減ったりして関節の可動域が狭くなり、変形して痛みがでることがあります。その際、人工関節置換術によって関節を人工のものに置き換える場合があります。膝関節や股関節の人工関節置換術を受ける方は年間で15万人ほどといわれています。今回は、人工関節置換術や手術の種類について山形済生病院副院長 石井政次先生にお話しいただきます。

人工関節置換術とは、金属やセラミック・ポリエチレンでできた人工的な関節に置き換える手術です。

関節に痛みや変形が生じる変形性関節症や、リウマチ疾患、大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)(太ももの付け根にある大腿骨頭が死んでしまい、死んだ骨が潰れて痛む病気)などで痛みを覚え、歩行が困難になる方などに行っています。

手術の種類には骨と人工関節の固定に骨セメントを使う手術と使わない手術があります。

手術に用いる人工関節は、現在主に下記の3つのタイプが用いられています。

・ハイブリッドのタイプ(人工関節のソケットはセメントを使わずにスクリューで止め、表面を金属加工して骨が入るようにし、ステムは固定のためにセメントを使う)(写真左)

・ソケットとステムどちらもセメントを使うタイプ(写真中央)

・ソケットとステムどちらもセメントを使わないタイプ(写真右)

人工関節装着写真
石井政次先生よりご提供 人工関節装着写真

世界的に初期はセメントを使う手術が主流でしたが、現在はセメントを使わないタイプが多くなってきています。アメリカではほぼセメントを使用しておらず、日本の手術件数のうち8割ほどは使用していません。

また、セメントを使わないタイプは、骨が人工関節の金属表面に侵入して、固定が完成しますが、多少の期間を要します。

人工関節の固定にセメントを使うと、入った瞬間から骨に固定され、早期から全荷重可能ですが、きちんと医療側の指導のもとで行ってください。

(合併症は記事2『人工関節置換術の手術の流れと費用、合併症予防』で記載いたします。 )

骨切り術とは、関節近くの骨を切り、関節の適合性を改善する手術です。また、関節の軟骨部分(骨と骨の隙間)に荷重部がくるように修正する際にも骨切り術を行います。

骨切りには大腿骨頭を内側に傾ける内反骨切り(ないはんこつきり)や、外側に反らす外反骨切り(がいはんこつきり)があります。

また、寛骨臼(かんこつきゅう)が浅い場合に、深くする寛骨臼回転骨切り(かんこつきゅうかいてんこつきり)などがあります。

骨切り術をすると骨がつくまで待たなくてはなりません。そのためリハビリの期間や、入院日数が増えて治療期間も長くなります。

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