大動脈弁狭窄症は心臓の病気の1つで、血液の逆流を防ぐためにある「弁」という部位が機能しなくなることによって、さまざまな症状があらわれます。大動脈弁狭窄症は原因別に3つの種類があり、なかでも歳を取ることによってかかる「加齢性大動脈弁狭窄症」の患者さんがもっとも多いことがわかっています。
今回は大動脈弁狭窄症の種類と原因について北海道大野記念病院 循環器内科 主任医長の岩切 直樹先生にお話を伺いました。
大動脈弁狭窄症は原因別に大きく3つにわけられます。
<大動脈弁狭窄症の種類>
ここではそれぞれの原因についてお話します。
加齢性大動脈弁狭窄症とは、加齢による動脈硬化*が原因となって起きる大動脈弁狭窄症のことです。3つの大動脈弁狭窄症のなかでもっとも患者さんの数が多いといわれています。
また、2018年4月現在もさまざまな研究が行われてはいますが、加齢性大動脈弁狭窄症にかかりやすい、特徴的な生活習慣などはいまだ明らかになっていません。
動脈硬化……動脈血管の内側がもろくなりしなやかさを失うこと。血流が滞りやすくなる。
先天性二尖弁とは、元来3つに分かれているはずの心臓の弁が生まれつき2つであることをいいます。「循環器病の診断と治療に関するガイドライン」によれば、このような弁を持つ患者さんは一般人口の1〜2%といわれており、そのなかからおよそ70%の方が成人期に大動脈弁狭窄症などの病気にかかるといわれています。先天性二尖弁はご高齢になるまで症状があらわれず、治療が必要になって初めて発覚することもあれば、近年の小児医療の発達により、生まれてすぐに超音波検査で判明することもあります。
先天性二尖弁による大動脈弁狭窄症の患者さんの場合、加齢性大動脈弁狭窄症の患者さんと比較すると発症年齢が若いことも特徴の1つです。
リウマチ性大動脈弁狭窄症とは、児童期(幼稚園児〜小学生くらい)に感染することのある「溶連菌感染症」による「リウマチ熱」が原因となる大動脈弁狭窄症です。幼いころにかかった感染症が心臓に影響を及ぼし、数十年後に発症して治療が必要になる病気です。
しかし、リウマチ性大動脈弁狭窄症の患者数は徐々に減少してきているといわれています。この理由は、小児医療が発達したことで溶連菌感染症によるリウマチ熱への治療がきちんと行われるようになったためと考えられています。溶連菌の多くは標準的な抗菌薬で治療することができ、短期間で治癒するようになりました。その結果、リウマチ熱によって大動脈弁狭窄症にかかる患者さんが減少してきています。
3つの大動脈弁狭窄症のなかで、もっとも割合が多いのは加齢性大動脈弁狭窄症です。2006年の「循環器病の診断と治療に関するガイドライン」によれば、その内訳は以下のとおりです。
<大動脈弁狭窄症の割合>
そのため、大動脈弁狭窄症にもっともかかりやすいのはご高齢の方であるといえます。
また、大動脈弁狭窄症の男女比は、頻度でみると男性の方が多いのですが、患者数をみると、平均寿命が長い関係で女性に多いことがわかっています。(厚生労働省が発表した平成27年第22回生命表によれば、日本の平均寿命は男性:80.75歳、女性86.99歳。)
北海道大野記念病院 循環器内科 主任医長
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