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遅発性内リンパ水腫の診断と治療-ストレス解消の効果とは?
遅発性内リンパ水腫とは、高度感音難聴*が起こった数年〜数十年後にめまいを繰り返すようになる病気です。この病気は、主に高度感音難聴とめまいの症状から診断を行います。また、症状の改善には、ストレス解...
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遅発性内リンパ水腫の診断と治療-ストレス解消の効果とは?

公開日 2018 年 07 月 23 日 | 更新日 2018 年 10 月 23 日

遅発性内リンパ水腫の診断と治療-ストレス解消の効果とは?
肥塚 泉 先生

聖マリアンナ医科大学 耳鼻咽喉科学 教授

肥塚 泉 先生

目次

遅発性内リンパ水腫とは、高度感音難聴が起こった数年〜数十年後にめまいを繰り返すようになる病気です。この病気は、主に高度感音難聴とめまいの症状から診断を行います。また、症状の改善には、ストレス解消が効果的だといわれています。

今回は、めまい診療に長く携わっていらっしゃる聖マリアンナ医科大学病院の肥塚 泉先生に、遅発性内リンパ水腫の診断と治療についてお話しいただきました。

耳のなかにある蝸牛(かぎゅう)や、聴神経(蝸牛神経)の障害によって生じる難聴。70dB以上90dB未満の聴力レベルになるため聞き取りに限界がある状態を指す。

遅発性内リンパ水腫の診断

高度感音難聴とめまいの症状から病気を診断

遅発性内リンパ水腫は、主に、高度感音難聴とめまいの症状から診断します。特に、過去に高度感音難聴があったかどうかを確認することは、この病気を診断する上で大切です。

診断

メニエール病との鑑別方法

記事1『高度感音難聴とめまいが特徴-遅発性内リンパ水腫ってどんな病気?』でもお話ししましたが、同側型の遅発性内リンパ水腫とメニエール病の鑑別は比較的容易です。めまいに先行する高度感音難聴がある場合に遅発性内リンパ水腫と診断されます。一方、高度感音難聴を生じた耳とは反対側の耳に、新たにメニエール病を発症しめまいが生じた場合両者の鑑別は難しく、診断が混同されてしまう場合があります。

しかし、2018年5月現在、遅発性内リンパ水腫とメニエール病の治療法はほぼ同様なため、たとえ混同されていたとしても心配することはないでしょう。

MRIによる画像検査が有効なことも

また、あまり一般的ではありませんが、MRI(磁気を使い、体の断面を写す検査)によって画像診断を行うこともあります。画像診断によって耳の内部に内リンパ水腫を確認することができれば診断の参考になるといわれています。

遅発性内リンパ水腫の治療の選択肢

遅発性内リンパ水腫の治療は、めまい発作が生じている際中の急性期と、めまいがおさまっている発作間欠期の治療に分けられます。

急性期の治療:薬による治療や補液などが行われる

急性期の治療では、安静にすることに加え、めまいを抑える抗めまい薬、吐き気や嘔吐を抑える制吐薬、脱水に対する補液などが行われます。

発作間欠期の治療:生活習慣の改善やストレス解消が有効

急性期を過ぎ、めまい発作がおさまったら、再発予防が大切です。再発予防には、生活習慣の改善が有効といわれています。後ほど詳しくお話ししますが、ストレス解消が症状の改善につながることがわかっています。

また、薬物療法、水分摂取、有酸素運動なども効果があると考えられます。まれではありますが、専門家によって手術の効果があると判断された場合には、めまいの症状を制御するために耳の手術を行うこともあります。

高齢者のめまい治療の注意点

薬が原因でめまいが悪化する可能性がある

高齢者

少し話は逸れますが、高齢者には薬剤性めまいが起こる可能性があるといわれています。そのため、めまいのある患者さんが他の病気にかかり薬を服用する場合には、十分に注意が必要です。

高齢者は、腎臓や肝臓の機能が低下しているために薬の成分を分解する能力が落ち、体内の薬の濃度が高くなりがちです。たとえば、外来の患者さんで薬を5剤以上飲んでいる方は、転倒のリスクが2倍になることがわかっています。

このようなケースでは、医師に相談しながら薬の整理が必要であるかもしれません。特に高齢者の飲む薬には、副作用としてめまいやふらつきを起こす場合が多いといわれています。薬の服用には、十分に注意してほしいと思います。

生活改善とストレス解消が果たす効果

趣味をもつなどストレスの解消がめまいの改善に

安眠や規則正しい生活を心がけるなど、生活習慣の改善はめまい症状の改善につながります。さらに、ストレス解消は、遅発性内リンパ水腫に限らず、メニエール病など内リンパ水腫を原因とするめまいの症状の改善に有効であると考えられます。

女性が絵を書いているイメージ画像

ストレス解消の方法は、何でもよいとお伝えしています。楽しめる趣味をもつことも効果的でしょう。どんなことでもよいので、自分の好きなことをみつけてほしいと思います。たとえ高齢であったとしても、可能な限り、行ってみたいことや、やってみたいことに挑戦してほしいと思います。

あまりマジメに考えすぎず、ある程度気楽に考えることも大切です。無理をしたり頑張りすぎたりせず、日々の生活を楽しむことが改善につながるでしょう。

診断・治療はどんな医療機関で受ければいいの?

難聴やめまいの症状があったら耳鼻咽喉科へ

難聴やめまいの症状がある場合には、耳鼻咽喉科を受診してほしいと思います。特に、難聴のなかでも突発性難聴は、できるだけ早期に治療を開始することが改善につながります。

また、めまいの多くは耳から生じます。そのため、めまいの場合も、耳鼻咽喉科を受診することが改善につながるでしょう。しかし、高血圧や糖尿病にかかっている、飲み込みにくい、ろれつが回らない、手足の力が抜ける、などの症状が合わせて現れている場合には耳が原因ではなく他の病気の可能性もあるため、注意が必要です。

先生からのメッセージ

楽しめる時間を増やすことが改善につながる

先生

難聴やめまいの多くは耳から生じます。そのため、聞こえづらい場合や、めまいを感じた場合には、なるべく早く耳鼻咽喉科を受診してほしいと思います。早期治療が改善につながります。また、専門の医師に話を聞くことが安心につながり、めまいの症状が改善される場合もあります。

繰り返しになりますが、耳から生じるめまいの症状を改善するためには、ストレス解消が有効です。ストレス解消と聞くと難しく感じる方もいるかもしれませんが、日々の生活のなかで少しでも楽しいと感じる時間を増やしていってほしいと思います。笑顔になれる時間が増えることが、症状の改善につながるでしょう。

 

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1981年より耳鼻咽喉科医師としてキャリアをはじめる。2000年には聖マリアンナ医科大学 耳鼻咽喉科学 教授に就任。めまい、平衡障害の第一人者として、臨床・研究ともに日本をリードしており、1999年からは日本めまい平衡医学会理事に就任。