院長インタビュー

患者さんへの負担を抑えた医療に尽力する姫路医療センター

患者さんへの負担を抑えた医療に尽力する姫路医療センター
和田 康雄 先生

独立行政法人国立病院機構姫路医療センター 院長

和田 康雄 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年06月27日です。

独立行政法人国立病院機構 姫路医療センター(以下、姫路医療センター)は、兵庫県姫路市にある地域の中核病院です。地域連携において中核的な医療機関としての役割を果たしながら、地域がん診療連携拠点病院として常によりよいがん治療の提供に尽力しています。

また、出血や痛みの少ない低侵襲治療に取り組む同院では、内視鏡手術やカテーテル手術に代表される患者さんへの負担を減した治療法が実践されています。同院の取り組みや現状について、院長である和田康雄先生にお話を伺いました。

姫路医療センター 外観
姫路医療センター 外観

兵庫県姫路市にある当院は、国立病院機構に属する地域の中核病院です。国立病院機構とは厚生労働省が管轄する医療組織のことを指します。全国にある141の医療機関によって組織されており(2019年3月時点)、大規模な医療ネットワークを構築しています。

当院は、地域がん診療連携拠点病院として指定を受けています。院内には、内科と外科が連携し医療を提供する、呼吸器センター・消化器センター・高精度放射線治療センターという3つのセンターを組織し、がん治療をはじめ各分野に特化した医療を行っています。

当院が、日本陸軍の衛戍病院として発足したのは1898年のことです。当時、姫路市には陸軍師団が滞在しており、病院周辺には兵器庫や練兵場などもありました。その後、1945年には国へと移管、国立姫路病院へと改称しました。それ以降、2004年に独立行政法人となるまでは、国立病院として発展を続けてまいりました。

2007年には地域がん診療連携拠点病院として、2010年には兵庫県の災害拠点病院としての指定を受け、現在に至ります。

当院では、院内一丸となって低侵襲治療の実践に取り組んでいます。低侵襲治療とは、内視鏡手術やカテーテル手術に代表される、出血や痛みなどの少ない治療法のことです。呼吸器外科や消化器外科を含む、あらゆる診療科がこの低侵襲治療に取り組んでいます。なかには低侵襲治療を適用することが困難な疾患もありますが、可能な限り患者さんの負担を抑えた治療を心がけています。

地域がん診療連携拠点病院である当院は、特にがん治療の分野に力を入れる医療機関です。がん治療にも低侵襲治療を積極的に取り入れることで、患者さんへの負担が少ない治療の提供に尽力してきました。

また、当院のある姫路市にも高齢化の波が押し寄せています。当然、以前と比べるとご高齢の患者さんの数も増えました。そういったご高齢の患者さんにも、低侵襲治療が有効であるという答えにたどりつきます。

近年では、放射線治療における低侵襲治療ともいうべきIMRT(強度変調放射線治療)の1つである、トモセラピーを導入しました。

当院は今後も、さまざまな分野にわたって低侵襲治療が提供できる体制の強化を図ってまいります。

内視鏡検査の技術のを磨く医師の皆さん
内視鏡検査の技術のを磨く医師の皆さん

当院では、呼吸器センター・消化器センター・高精度放射線治療センターという3つのセンターを設けることで、各分野で内科と外科が連携して診療を提供してきました。

この3つのセンターでは、若手医師たちにも積極的に参入してもらっており、実践をともなう教育の場としての機能も備えています。次の項目では、各分野の内科医と外科医の連携に、特に力を入れている呼吸器センターと消化器センターの特徴についてご説明します。

カンファレンスの様子
カンファレンスの様子

呼吸器センターには、呼吸器内科医と呼吸器外科医が在籍しています。これらの医師が連携することで内科・外科の垣根を越えた協力体制を築き、常に患者さん一人ひとりに適切な治療の提供を目指しています。知識と経験に基づいた内科的なアプローチと、胸腔鏡手術を含む低侵襲手術を積極的に取り入れる外科的なアプローチを行っています。

消化器センターには、消化器内科医と消化器外科医が共に在籍しています。ここでも内科・外科がシームレスに連携し、食道や胃、小腸、大腸といった消化器全般の治療を行っています。なかでも、こちらのセンターの強みとなっている内視鏡手術は、開腹手術に対しメスを入れる範囲を小さく抑えられるため、患者さんの体への負担が少なく、より早期の回復が期待できます。これからも、内科と外科が連携することでよりよい消化器治療を提供してまいります。

当院の救急科は、姫路市及びその周辺地域を対象に二次救急を含む救急医療の提供を行っています。各診療科に在籍する医師はもちろんのこと、看護師や薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー、地域連携室の職員などさまざまなスタッフが密接に連携することで、日々の救急医療を実践しています。

当院の救急科はドクターカーを有しており、緊急時には現場へ患者さんをお迎えに行っています。

また、災害医療にも力を入れています。災害拠点病院として、災害や事故の現場で医療提供を行っているほか、ドクターヘリとの連携も行っています。

国立病院機構の一員である当院には、これまでにさまざまな臨床研究依頼が寄せられてきました。臨床研究とは、まだ世に出ていない治療法や薬などの効果と作用を確認する医療研究や試験のことをいいます。当院では、治験コーディネーター(CRC)や薬剤師、看護師、事務スタッフが在籍する臨床研究部というチームを組織し、治験を含む多くの臨床研究にあたっています。いまだに治療法の確立していない難病の克服や、よりよい治療法を発見するために、これからも引き続き臨床研究に取り組んでまいります。

各診療科が積極的に学会参加・発表を行っていることも当院の特色のひとつです。院内でも特に多くの医師が在籍する呼吸器内科は、国内のみならず国外の学会にも参加しています。

また、学会への参加や発表のための費用を当院が提供することで、医師たちの負担を減らす取り組みを続けてきました。医師たちには、学会での活動を通して、日々の診療や研究の成果を医療の進歩につなげてほしいと考えています。

姫路市は、兵庫県のなかでも中播磨医療圏に属する地域です。当院では、中播磨医療圏全域に暮らす方々を対象とした講演会を開催することで、地域の方々に医療を身近に感じてもらい、また健康に対する意識向上のきっかけづくりを行ってきました。中播磨医療圏で地域がん診療連携拠点病院としての指定を受ける当院と姫路赤十字病院が、毎年交代でこの講演会を開催しています。

また、それとは別に、当院では地域の医療従事者向けの講演会も開催してきました。この講演会の目的は、当院の機能や役割を地域の医療従事者に知っていただくと共に、交流を深めることで密な地域医療連携体制を構築することです。地域の方々に向けた講演会と医療従事者に向けた講演会、これらの取り組みは今後も継続してまいります。

患者さん同士の交流を深める機会として、当院ではがん患者さんを中心とした患者会を開いています。

患者さんは、大きな不安をかかえていらっしゃるものです。この患者会を通して同じ病気と不安をかかえる患者さん同士に交流をもっていただき、また意見交換をしてもらうことで、少しでも不安を取り除くことができればと考えています。

行政の掲げる地域医療構想のなかで、中播磨医療圏は2025年度までに急性期病床の大幅な削減と、それを上回る数の回復期病床の増床が計画されています。この計画を受け、医療圏内の民間病院は急性期病床を回復期病床に転換し始めていますが、それでもまだ予定されている回復期病床の数には足りていません。

現在、当院が有している病床はすべて急性期病床もしくは高度急性期病床です。様子を見ながら、今後どのような方針で病床を運営していくのが最善かを考えたいと思います。

和田先生

当院は今後、合併症や専門的な医療を必要とする病気に対しても低侵襲治療が施せるよう、体制の充実を図っていきます。当院の診療に関心をもっていただけましたら、まずは、かかりつけ医の先生にご相談のうえ、紹介を受けていただければと思います。根治を第一としながら、可能な限り負担の少ない治療を提供いたします。

また、姫路城を望む静かな場所にある当院は、療養に適した環境です。これからもこの場所で、地域の皆さまへよりよい医療の実践に尽力してまいります。

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    和田 康雄 先生

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