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胸骨の一部がへこむ先天性の病気「漏斗胸」−その症状と治療選択について

胸骨の一部がへこむ先天性の病気「漏斗胸」−その症状と治療選択について
笠置 康 先生

松山笠置記念心臓血管病院 病院長/社会医療法人 笠置記念胸部外科 理事長

笠置 康 先生

目次
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漏斗胸(ろうときょう)とは、胸骨の一部がへこみ、胸郭(胸をとりまく骨格)が変形する先天性の病気です。へこみの程度や発症時期はケースによってさまざまですが、外見的な問題から、患者さん(特に子ども)が精神的な負担を抱えてしまうことがあります。

愛媛県松山市にある松山笠置記念心臓血管病院は、早くから漏斗胸の治療に取り組み、これまでに数多くの症例を手がけてきました。院長の笠置康先生に、漏斗胸の概要と症状、治療選択についてお話を伺います。

漏斗胸とは?

胸骨の一部がへこみ、胸郭が変形する先天性の病気

漏斗胸とは、胸骨の一部が陥凹(かんおう)することによって胸郭(胸をとりまく骨格)が変形する先天性の病気です。漏斗胸の発症頻度はおよそ1,000人に1人で、男女比はおよそ3:1と、男性に多くみられます。

漏斗胸には、主に3つの骨が関係しています。

  • 胸骨(胸の中央にある骨)
  • 肋骨(左右から伸びている骨)
  • 肋軟骨(胸骨と肋骨をつなぐ骨)

胸のへこみの程度や発症時期はケースによって異なる

胸の陥凹(へこみ)の程度は、目立たないほどのへこみから、握りこぶしほどの大きさのへこみなど、ケースによってさまざまです。また、左右のへこみ方が異なる場合もあります。また、漏斗胸の発症時期はケースによって異なり、生後間もない時期にへこみが目立つこともあれば、成長と共にへこみが大きくなることもあります。

漏斗胸の発症には肋軟骨の変形がかかわっていると考えられていますが、はっきりとした原因は分かっていません。

漏斗胸の患者さんは、胸(心臓や肺)への圧迫を少しでも軽減しようとするため、背筋をまっすぐに保てず、猫背になっているケースが多くみられます。

漏斗胸の症状とは?−どのような点が問題になるのか

消化器症状や呼吸器症状、循環器症状などが現れることがある

漏斗胸では、運動時の息切れや胸の痛みといった症状が現れることがあります。そのほかにも、胃や肝臓の圧迫による消化器症状(消化不良、食欲不振など)、気管支の圧迫による呼吸器症状(風邪を引きやすいなど)、心臓の圧迫による循環器症状(不整脈など)などが現れることがあります。一方で、胸のへこみが軽度の場合には、症状が出ないこともあります。

胸のへこみによって精神的な負担を抱えてしまうことがある

漏斗胸の患者さんは、胸のへこみをコンプレックスに感じて、プールや温泉に入ることを避けたり、社会行動が消極的になったりすることがあります。このように患者さんが精神的な負担を抱えている場合には、たとえはっきりとした症状が出ていなくとも、治療によって胸部の変形を矯正し、精神的負担を取り除くことの価値は大きいと考えています。

漏斗胸の治療については、記事2『漏斗胸に対する手術「Nuss法」とは?−その具体的な流れを解説』をご覧ください。

どのような状況で漏斗胸を疑うの?

健康診断で異常を指摘されたり、患者さんが自発的に病院を受診したりする

漏斗胸を疑い病院を受診する主なパターンとしては、大きく2つあります。

1つは、学校の健康診断で胸郭の異常を指摘され、患者さんのご両親が主体となって病院を受診するケースです。もう1つは、患者さんが胸のへこみを気にして自発的に病院を受診するケースで、この場合には、自身の外見を気にし始める時期、特に小学校高学年から思春期において、友人からの指摘がきっかけになることがあります。

漏斗胸の治療はどのように行うのか?−その選択について

胸部X線検査の画像
心エコー検査の画像

陥凹の程度によって異なるが、一般的には手術療法を検討する

漏斗胸は、胸部の陥凹の程度によっていくつかの段階(グレードといいます)に分けられ、それに伴い治療選択も変化します。

漏斗胸に対する一般的な治療は、手術療法です。漏斗胸に対する手術には、いくつかの種類があります(※詳しくは記事2『漏斗胸に対する手術「Nuss法」とは?−その具体的な流れを解説』でご説明します)。一方で、非常に軽度の陥凹で心臓への圧迫がない(グレードⅠ)場合には、手術を行わずに、姿勢の矯正や運動療法(筋肉増強など)で対応することがあります。

陥凹の程度はケースによって異なるため、陥凹の深さのみならず、陥凹の広がりや陥凹している骨の部位など、あらゆる点を考慮して治療方法を検討します。いずれにせよ、最終的に治療方法を選択するのは、患者さんご自身(とご両親)です。気になることや不安な点があれば、遠慮なく主治医にご相談ください。

漏斗胸の治療にかける笠置康先生の思い

笠置先生

これまで数多く漏斗胸の治療を手がけてきましたが、漏斗胸はケースによってさまざまな状態があり、どの症例も印象に残っています。私は「スピーディかつ確実に」をポリシーに漏斗胸の治療を行っていますが、それを実現できるのは、当院スタッフ全体の連携によるチーム医療があるからだと思います。

先にも述べましたが、漏斗胸は、たとえ症状がなくとも、外見上の問題から患者さんが精神的ストレスを感じてしまうことがあります。他方、見た目に分からなくとも、胸骨の変形によって心臓や肺などが圧迫されている可能性もあります。漏斗胸の症状などでお困りの方、治療をお考えの方は、ぜひご相談いただければと思います。

次の記事では、漏斗胸の手術(Nuss法)について詳しく解説します。