院長インタビュー

消化器疾患に対する診療に特化し、どのようなときも患者さんに寄り添う小樽掖済会病院

消化器疾患に対する診療に特化し、どのようなときも患者さんに寄り添う小樽掖済会病院
向谷 充宏 先生

公益社団法人日本海員掖済会 小樽掖済会病院 外科 病院長

向谷 充宏 先生

目次
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公益社団法人 日本海員掖済会 小樽掖済会病院(以下、小樽掖済会病院)は北海道小樽市にあり、消化器疾患の診療を中心に据えています。消化器疾患の早期発見・早期治療に結び付けるだけでなく、緩和ケアにも力を入れています。

同院の診療内容や目指す医療について、病院長である向谷(むかいや) 充宏(みつひろ)先生にお話を伺いました。

小樽掖済会病院 外観
小樽掖済会病院 外観

当院は、公益社団法人日本掖済会の8つある病院のひとつとして、北海道小樽市の地に1944年4月に開院いたしました。小樽市は、高齢化率が高い地域であるだけでなく、若い世代が小樽市外に出てしまうことなどが原因で人口減少が進んでいます。そのようななかでも地域の皆さんが住み慣れた土地で医療を受け続けることができるように、当院は地域の医療機関と診療内容を補い合いながら共に地域医療を担っています。

当院は、消化器内科と消化器外科の診療に特化するという体制整備によって、消化器疾患に対して診断から内視鏡治療や腹腔鏡手術、開腹手術、化学療法までを一貫して担っています。加えて、緩和ケア外来を設置し、がん患者さんの体と心の痛みを取り除き、人生の最終段階まで患者さんに寄り添えるように努めています。

以前は、整形外科の診療も行っていましたが、現在は休診しています(2020年4月時点)。そのため、当院が診療していない分野の医療を必要とする患者さんは、地域の医療機関にご紹介しています。これは、小樽市の医療機関が各々の得意な分野を生かし、互いに補い合いながら、地域の皆さんが必要とする医療を提供していこうと連携しているからこそ成せることです。これからも、当院は消化器疾患に対する診療を強みとして、地域の皆さんが住み慣れた土地で医療を受け続けることができるように邁進いたします。

消化器内科では、病変部を鮮明な画像で観察できる内視鏡検査を実施し、病気の早期発見に努めています。口や鼻、肛門から内視鏡を挿入する従来の方法に加え、大腸と小腸の内部を観察することに特化したカプセル内視鏡検査も導入しています。カプセル内視鏡検査は、カプセル型の内視鏡を飲み込む検査であるため、痛みなどは感じにくい検査といえるでしょう。当科では、内視鏡検査で感じる痛みや違和感を少しでも取り除けるように心掛けながら検査を行っています。

内視鏡室 内観
内視鏡室 内観

また、当科では早期の胃がん大腸がんなどの消化器がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)に力を入れています。ESDとは、内視鏡に取り付けた高周波メスを用いて病変部を切除する手術です。皮膚を切開することなく、がんを取り除くことができるため、患者さんの体への負担が少ない治療といえます。

これからも、できる限り患者さんの負担を軽減した検査と治療を提供し、病気の早期発見・早期治療に努めてまいります。

消化器外科では、腹腔鏡手術や開腹手術を行っています。また、当院では、消化器内科と消化器外科が連携し、胃粘膜下腫瘍に対する腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除(LECS: Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery)を実施しています。LECSとは、消化器内科医による内視鏡で胃の内部を、消化器外科医による腹腔鏡で胃の外側から腫瘍を見ながら手術を行うことで、胃の粘膜の切除範囲を抑えながら腫瘍を適切に取り除く手術です。

このように消化器内科と消化器外科がチームプレーで手術を行い、より安全で適切な手術を提供できるよう努めています。

待合室の様子
待合室の様子

緩和ケア外来では、がん患者さんの体や心の痛みを和らげたり、患者さんとその家族の意思を尊重した生活のサポートを行ったりしています。「この地域にお住まいの消化器疾患の患者さんを一貫してサポートしたい」と思ったことが設置のきっかけとなりました。

がん患者さんが痛みや苦しみを1人で抱え込んでしまうことがないように、看護師が中心となり、がん患者さんの多様な悩みに対応しています。お悩みや不安な気持ちがある方は、気兼ねなく緩和ケア外来をご利用いただけますと幸いです。

診察の様子
診察の様子

小樽市では、地域の医療機関が一体となって、地域の皆さんが求める医療を提供し続けられるように、連携体制の強化に尽力しています。当院は、地域にお住まいの消化器疾患のある患者さんを、消化器内科と消化器外科で緊密に連携しながら診療しています。しかし、当院では放射線治療を行っていないため、放射線治療が必要な患者さんに関しては設備が整った病院をご紹介いたします。また、合併症がある患者さんは、地域の医療機関と連携しながら、しっかりと診療しています。

地域の皆さんが、住み慣れた地域で医療を受け続けられるように、今後よりいっそう地域の医療機関と協力してまいります。

医師に限らず若い世代の方は、都会に住みたいと思う方が多いでしょう。北海道でいえば、札幌市が一番大きな都市であり、小樽市は札幌市に隣接しています。そのため、札幌市に住みながら電車で通勤できることは、当院で働くひとつの魅力ではないでしょうか。

若手の医師の皆さんには、じっくりと腰を据えて、医療に従事してほしいと考えています。当院は地域に根差した病院として、若手医師の皆さんに積極的に手術に執刀する機会を与え、知識や技術を教えています。医師として研鑽しながら、アットホームな環境で働きたいと考える方はぜひ当院にいらしてください。

先生

患者さんの多くは、とかく大きな病院に行きたがる傾向にあります。それは、大きな病院に対して、きれいで先進的な設備が整っていて、よりよい医療が受けられる病院だという印象を抱いているからでしょう。もちろん大きな病院はそれらの条件を満たすために努力している場合が多いです。しかし、必ずしも大きな病院に、自分に合った診療を提供してくれる医師がいるとは限りません。ですから、地域の皆さんには、どの医師に治療してもらうかという視点で、病院選びをしていただければと思っています。

かといって、どの医師に治療をお願いすればよいのか悩む場合もあるでしょう。そうしたときに当院に受診いただければ、患者さんのご希望を伺い、適切な医師にご紹介することも可能ですので、何かお困り事があったときには、気兼ねなく当院を受診ください。当院では、消化器疾患の早期発見・早期治療をはじめ、人生の最終段階までを切れ目なくサポートできるよう、職員一同、励んでまいります。

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  • 公益社団法人日本海員掖済会 小樽掖済会病院 外科 病院長

    向谷 充宏 先生

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