院長インタビュー

For the patient――。患者さんのための医療を実践する熊本セントラル病院

For the patient――。患者さんのための医療を実践する熊本セントラル病院
井上 雅文 先生

社会医療法人潤心会 熊本セントラル病院 院長

井上 雅文 先生

目次
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熊本セントラル病院は1987年の開設以来、地域の中核的な病院としての役割を担ってきました。今もなお人口増加が続くエリアにおいて二次救急や外科手術などに幅広く対応する同院の役割や今後について、院長である井上 雅文(いのうえ まさふみ)先生に伺いました。

先方提供
外観(提供:熊本セントラル病院)

当院は1987年に開院しました。2016年の熊本地震を乗り越えて2018年には社会医療法人に認定され、2020年10月には菊陽町に新病院を開設いたしました。菊池・阿蘇地域の中核的な病院としての役割を担い、二次救急を積極的に受け入れながら地域の方々の命と健康を支えています。

菊陽町は阿蘇のふもとに面し、豊かな自然に囲まれた地域です。一方で、近隣には半導体メーカーの工場建設に伴ってマンションや小学校などが続々と新設され、人口の増加が続いています。少子化や人口減少が叫ばれる現代において20年後も人口増加が見込まれる、全国的にも珍しいエリアだと言えるでしょう。地域に暮らす子どもから高齢者、工場で働く外国人労働者など地域の医療ニーズはさまざまですが、全スタッフが“For the patient”の理念のもとに患者さんのための医療を実践しています。

当院では整形外科領域の手術に力を入れており、私自身も整形外科を専門としています。近隣には手術に対応する医療機関がほとんどないため、患者さんはわざわざ市内の病院に足を運ばなければならないケースが少なくありません。手術さえできればQOL(生活の質)向上が期待できるにもかかわらず、手術待ちになっている患者さんがいらっしゃるのは忍びないことです。当院ではできる限り地域の中で医療を完結できるよう、医療提供体制の充実に努めています。

整形外科手術の中で件数が多いものに脊椎疾患の手術があります。脊椎の中には神経が通っていることから脊椎手術は非常に難易度が高く、対応できる医療機関が限られてしまうのが現状です。当院では脊椎手術を専門とする医師を招聘すると同時に、精度の高い手術を可能にするナビゲーションシステムを熊本県で初導入するなどして、地域の医療ニーズにお応えしています。

当院は二次救急医療機関として地域における急性期医療を担っておりますが、さらなる救急医療の充実を図るべく2023年4月に救急科を新設しました。救急科専門医(日本救急医学会認定)を中心に、年間2,000台*前後の救急車を受け入れています。夜間や休日に急な体調不良に見舞われたとき、皆さまに「この病院があってよかった」と思っていただけるように、可能な限りお断りせず救急車を受け入れたいと考えております。

救急科の新設と時を同じくして、熊本県より災害拠点病院の認定を受けました。災害拠点病院は文字どおり、災害時における初期救急医療体制の充実強化を図る役割があり、当院においても周辺地域が災害に見舞われた際に迅速に対応できる体制づくりを進めてきました。最近ではDMAT(災害派遣支援チーム)を編成するなど、災害時の対応強化に努めています。

*救急車受け入れ台数:2021年度/1,610件、2022年度/1,877件 2023年度/2,070件

当院には常勤の医師が30人おり、内科と外科をまんべんなく診られる体制が整っています(2024年3月現在)。整形外科手術に力を入れているとお話ししましたが、手術は外科医だけで行えるものではありません。ご高齢の患者さんは1つでなく複数の病気を持っていることが少なくありませんから、整形外科医に加えて循環器や呼吸器などの内科医が連携して治療にあたる必要があるのです。

内科・外科を問わず幅広く診療できる体制があることは、患者さんにとってもメリットが大きいことであり、医療を通して高齢化社会にも貢献できるのではないかと思います。最近は地域のクリニックとの連携を強化し、手術が必要な患者さんをご紹介いただいたり、術後の患者さんをかかりつけの先生にお願いしたりといった事例が増えてきました。今後も地域の患者さんを地域の中で継続して支えていくような体制づくりに力を注ぎたいと考えています。

当院では私が副院長だった2010年頃に医師事務作業補助という職種を導入しました。医師事務作業補助は“医師の秘書”のような役割を担い、医師でなくてもできる仕事を担います。たとえば患者さんの情報をまとめた“手術サマリー”や“退院サマリー”を医師事務作業補助が作成することで医師の負担を軽減できれば、医師は患者さんの診療に集中でき、患者さんの満足度もアップすることでしょう。

このほかにも放射線科、検査科、薬剤科などそれぞれの部門に権限を持たせ、医師はそれらを統括する形にすることにより、業務の効率化と医療の質の向上が期待できます。患者さんへの薬の処方は薬剤師が担い、医師はそれを承認または軌道修正する……このサイクルがうまく回っていけば職員のやりがいや喜にもつながっていくでしょう。

こうした取り組みに加えて、2017年には医療法人潤心会として『あおぞら保育園』を開設しました。職員のお子さんを積極的にお預かりすることによって、現在まで産後の復職率は100%です。今後も地域のため安定して継続的な医療をご提供できるよう、患者さんと職員の暮らしを守っていくことが私の使命だと考えています。

私は病院というところは医療サービスを行う場所であり、“快適さをご提供する”という意味ではホテルと同じだと考えています。鮮やかなブルーと清潔感のある白のコントラストがひときわ目を引く当院は、一般病棟(2病棟)と地域包括ケア病棟(3病棟)の計5病棟からなり、246床を有します。大きく取った病室の窓からは阿蘇山をはじめとした雄大な風景を眺めつつ、快適な療養生活を送っていただくことができるでしょう。

先方提供
エントランス(提供:熊本セントラル病院)

菊陽町には“ゆめタウン光の森”というショッピングモールがあって、ここへ行けば市内に行かずとも大抵のものがそろうと言います。これと同じように当院も“わざわざ市内に行かずとも手術を受けられ、休日や夜間も診てもらえる”と、地域の皆さまに頼りにされるような医療機関でありたいと考えています。内科・外科を問わず幅広く診療できる体制が整っておりますので、何かお困りのことやご心配なことがございましたら、お気軽にご相談いただければと思います。

*病床数、診療科、提供する医療の内容等の情報は全て、2024年3月時点のものです。

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