くすみ

くすみ

※この用語は、医学的には病名ではない場合、もしくは病名として認められつつある段階である場合があります。また、医療や身体にまつわる一般的な用語を掲載している場合があります。

最終更新日:
2020年03月12日
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2020/03/12
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概要

いわゆる“くすみ”とは、皮膚が黒ずみ、透明感や明るさを失った状態のことを指します。主な原因は、皮膚の新陳代謝であるターンオーバーの乱れと紫外線などの刺激によるメラニン色素の沈着です。一般的には顔の皮膚に現れるもののことをいいますが、全身の皮膚にも現れる可能性があります。

“くすみ”は正式な病名や医学用語ではなく、皮膚科的な診断基準などもありません。しかし、顔の“くすみ”は特に20代後半頃から目立つようになるケースもあり、美容上の観点から深刻な悩みを抱えている方も多いと考えられています。

“くすみ”を改善するには、化粧品の使用方法や生活習慣の改善などのセルフケアが中心となりますが、近年では美容外科や皮膚科などでレーザー治療、光治療、ケミカルピーリングなど医学的な治療技術によって改善を目指すケースも増えています。

原因

皮膚のくすみの原因はさまざまですが、主に次のようなことが挙げられます。

1.ターンオーバーの乱れ

ターンオーバーとは、皮膚の新陳代謝のことです。ヒトの皮膚の表層にある表皮は4つの層からできており、もっとも深い層は“基底層”、もっとも表層の部分は“角質層”と呼ばれます。基底層では常に皮膚の新しい細胞が作られ、上の層へと押し上げられ、最終的に角質層に至ります。

一方、角質層は古くなった細胞が積み重なってできており、下の層から新しい細胞が押し上げられてくると古い細胞が剥がれ、新しい細胞に入れ替わります。通常、皮膚は45日ほどの周期でこのような細胞の入れ替わりが生じているのです。

この周期のことをターンオーバーといいますが、ターンオーバーが乱れて古い細胞が新しい細胞に入れ替わることが困難になると、角質層が古い細胞で占められてしまい、透明感や明るさが失われ、くすみの原因になります。

ターンオーバーはストレス、睡眠不足、食生活の乱れ、運動不足などの不規則な生活習慣によって乱れやすく、更年期障害など女性ホルモンの分泌バランスにも影響されやすいとされています。

2.メラニン色素の沈着

ヒトの皮膚は紫外線や慢性的な摩擦などの刺激を受けると、基底層にある“メラノサイト”と呼ばれる細胞が刺激され、“メラニン色素”と呼ばれる色素が生成されるようになります。メラニン色素は通常の皮膚よりも濃い色であるため、皮膚に沈着することで肌の明るさが失われ、くすみを引き起こします。

3.血行の悪化

皮膚が健康的な肌色を維持できているのは、皮膚の下を走行する細かい血管に十分な血液が流れ、それが皮膚を通して透けて見えているためです。

このため、冷え性、肩や首のコリなどが続いて血行が悪くなると、いわゆる“血色”が悪くなりくすみの原因になることがあります。

症状

皮膚のくすみはターンオーバーが乱れがちになる20代後半頃から現れ始め、年齢を重ねるごとにくすみの程度がひどくなったり、くすみの範囲が広がったりするケースが増えていくのが一般的です。特に女性の場合は、ターンオーバーを整える作用がある女性ホルモンの“エストロゲン”が減少する更年期以降は症状が悪化しやすくなります。

くすみ自体には痛みやかゆみなどの症状は伴いません。しかし、顔などの目立つ部位にできたくすみは美容上の影響が大きく、精神的に深刻なダメージを受けるケースも多いとされています。

検査・診断

くすみは年齢を重ねることによって生じる完全には避けられない生理現象でもあるため、通常は病院での検査を要する必要はありません。

しかし、急激にくすみが広がった場合や若年者に見られる場合は、血行を悪化させる病気や貧血を引き起こす病気など、何らかの病気によって引き起こされている可能性も否定できません。このため、内科などで血液検査や画像検査が必要に応じて行われることがあります。

一方、皮膚科や美容外科などでくすみの治療を行う場合、医師による視診(皮膚の状態を目で観察する)や触診(皮膚の状態を触って観察する)などが行われますが、ほかの特別な検査を行うことはまずありません。

治療

くすみは上でも述べた通り、加齢による現象であるため通常は治療を必要とせず、セルフケアで対処していくことがほとんどです。

しかし、美容上の観点から深刻な悩みの種となっているケースでは、皮膚科や美容外科などで次のような治療が行われることがあります。

薬物療法

効果が現れるかは個人差がありますが、手軽な治療方法として薬物療法が行われることがあります。具体的には、皮膚のターンオーバーを整えるビタミンB2やB6、血行を改善するビタミンEなどが配合された飲み薬、美白効果があるとされるプラセンタなどが含まれた塗り薬などを使用した治療が取り入れられています。

レーザー治療

皮膚にレーザーを当て、沈着したメラニン色素を破壊する治療方法です。特に色の濃いくすみが気になる際に行われ、通常のシミ治療の場合と異なり、ほとんどかさぶたにならないくらいの弱い出力でレーザー光を繰り返し照射して、徐々にくすみを薄くしていきます。

光治療

レーザーほど強力ではないものの、メラニン色素を破壊する効果のある“IPL”と呼ばれる光を皮膚に照射する治療法です。治療回数は6、7回必要ですが、治療後のかさぶたが少なく、メイクをすることもできるため、近年多くの医療機関で取り入れられています。

ケミカルピーリング

皮膚にグリコール酸などの薬を塗布し、角質層の古い細胞を人工的に剥がして新しい細胞への入れ替えを促す治療法です。くすみの原因となる角質層の古い細胞を取り除くことができるため、透明感のある明るい皮膚を取り戻すことができます。

一般的には2週間おきに10回程度の治療が必要であり、治療を続けている最中は皮膚のバリア機能を担う角質層が脆弱(ぜいじゃく)なため、紫外線対策などを徹底する必要があります。

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