えきのこっくすしょう

エキノコックス症

最終更新日:
2018年08月17日
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2018/08/17
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概要

エキノコックス症とは、エキノコックス属の条虫に感染することによって引き起こされる疾患のことを指します。包虫症(ほうちゅうしょう)とも呼ばれます。

エキノコックス症は大きく2種類あり、単包虫という包嚢(ふくろのようなもの)を形成するものと、多包虫という小さな包嚢の集まったスポンジ様の病変を作るものがあります。日本でみられるのは主に後者の多包虫です。日本では、北海道などを中心に報告されており、キツネが感染源として有名です。

治療は、単包虫であれば内服薬による治療、アルコール注入吸引療法、手術などがあり、多包虫であれは原則、手術になります。

原因

エキノコックス症は、寄生虫の一種であるエキノコックス属の条虫の幼虫によって引き起こされます。この虫にとって人は、本来寄生する相手ではないため、人の体内で成虫になることができません。

エキノコックス症を起こす単包虫がEchinococcus granulosus、多包虫がEchinococcus multilocularisです。

エキノコックスの条虫は、イヌやキツネなどの体内で成虫へと成熟し、虫卵を産みます。これらが排泄物とともに環境中へとばらまかれることになります。

土壌が虫卵によって汚染されると、順次、野ネズミやリス、ヒツジやヤギなどへと虫卵が移動し、最終的に再度イヌやキツネの体内へと戻ってきます。

こうした生活環のなかで、虫卵に汚染された土壌を介して人に感染してしまうことがあります。具体的には、エキノコックスの虫卵で汚染された食べ物や水を口から摂取することで、人の体内に入り込みます。その後、消化管内で卵が孵化し、全身各臓器へとばらまかれてしまいます。

症状

エキノコックスの虫卵を体内に取り込んでも、多くは無症状で経過します。単包虫の場合、生涯、気づかれないこともあります。別の検査で偶然発見されることも珍しくありません。

一方、多包虫の場合は、肝臓に感染し、吐き気や嘔吐、右上腹部の違和感などの非特異的な症状が出現することが多いです。肝障害が進行することで、黄疸や腹水などが出現することもあります。

また、肺や脳に障害を引き起こすこともあります。この場合、咳や痰、呼吸障害や疲れやすさ、けいれん、意識障害などが生じることがあります。どの臓器に関連した症状が出現するかは、エキノコックスが侵入した臓器によって異なります。

検査・診断

エキノコックス症では、エキノコックスが入り込んだ臓器に対する画像検査を行います。具体的には、腹部超音波検査や腹部CTやMRI検査、胸部レントゲン写真、必要に応じて肺CT検査、頭部CT検査などの画像検査が行われます。血液検査で、エキノコックスに対する抗体を検出できることもあります。

また、エキノコックスに対する感染や臓器障害の状況を確認するために、血液検査が行われることもあります。エキノコックス症では、病変部位を手術で摘出することがありますが、摘出された検体を用いてエキノコックス症を診断することもあります。

治療

病変部位や病変の大きさ、数、虫体が死滅しているかなどにより治療方針が決定されます。治療は、単包虫であれば、内服薬による治療、アルコール注入吸引療法、手術などがあり、多包虫であれば原則、手術になります。手術が、エキノコックス症を根本的に治す唯一の治療法ですが、進行した場合には完全切除が困難な場合もあります。

予防

エキノコックス症は、日本においては北海道を中心にみられることがある疾患であり、キツネやイヌが感染していることがあります。そのため、感染予防のためには下記のような対策が重要となります。

  • 不用意に野生動物に近づかない
  • 生水を飲まない
  • 食事の際に生ものはよく水洗いする
  • 手をよく洗う

国によっては、感染動物の駆虫も行われています。

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