概要
カンジダ性指間びらん症とは、皮膚の常在菌である“カンジダ属真菌”と呼ばれるカビ(真菌)が異常に増殖することにより、指と指の間(指間)の角質がふやけ、かゆみ、赤み、ただれなどの症状が現れる病気です。症状が現れやすい部位は手で、特に間隔の狭い中指と薬指の間ですが、足でも薬指と小指の間に出ることが知られています。水仕事の多い職業に就いている方や、中高年の女性に多くみられます。
カンジダ菌は皮膚や粘膜にもともと存在する真菌で、普段は悪さをすることはありません。しかし何らかの原因で増殖すると、さまざまな症状を引き起こします。カンジダ属真菌には多様な種類があり、皮膚や粘膜の病気を引き起こす頻度が高い菌種は“Candida albicans”です。
原因
カンジダ性指間びらん症の主な原因は、カンジダ菌が指の間で異常に増殖することです。カンジダ菌が増殖する原因には、指の間が常に湿った状態であることが挙げられます。
たとえば、食器洗いなどの家事や飲食業の仕事などで、手が濡れた状態が長く続く場合や、手が濡れた後に指の間の水分をしっかり拭き取れていない場合などにカンジダ菌が増殖しやすく、カンジダ性指間びらん症の原因となることがあります。
症状
カンジダ性指間びらん症では手指の間の一番奥まった部分に赤みが生じ、ふやけた皮が剥けたり、ただれ、びらんが生じたりします。病変の周囲は湿って白っぽくなることが一般的です。指の間にかゆみや違和感、時に軽い痛みを伴うことがあります。病変が指の間から周辺の乾いた部分まで広がっていくことはほとんどありません。
検査・診断
特徴的な症状がみられ、職業や生活上で水に触れる機会が多いことが確認できれば、カンジダ性指間びらん症を疑います。ただし、似たような症状がみられる病気として、手の指の間に生じる“接触皮膚炎”、足の指の間では“趾間型足白癬”や“紅色陰癬”などが存在するため、診断の際には顕微鏡を用いた検査を行います。
直接顕微鏡検査(直接鏡検)
直接鏡検とは病変部分からはがれた角質などを採取し、顕微鏡で観察する検査のことです。採取した角質をアルカリ性の試薬で溶かして観察する“KOH直接鏡検”と呼ばれる検査方法が行われます。
カンジダ性指間びらん症の原因である“カンジダ菌”は常在菌のため、健康な皮膚にも付着していることがあります。しかし症状が現れている場合には、病変を顕微鏡で見ると多数のぶどうの房のような形に集まった胞子や、仮性菌糸と呼ばれるソーセージがつながったような菌が確認できます。これらの所見を確認できた段階で、確定診断となります。
治療
カンジダ性指間びらん症では、一般的に薬物療法が検討されます。またほとんどが水仕事などを原因に発症するため、生活上での注意なども大切です。
薬物療法
カンジダ性指間びらん症に対する薬物療法としては、抗真菌薬の塗り薬が処方されます。通常は、有効な抗真菌薬を毎日1~2回患部に塗ることによって、2週間程度で治癒が期待できます。
使用される塗り薬としては“アゾール系外用抗真菌薬”と呼ばれるものが挙げられ、主なものに“イソコナゾール”“クロトリマゾール”などのイミダゾール系が挙げられます。そのほか“アモロルフィン”などのモルホリン系、“テルビナフィン”などのアリルアミン系が使用されることもあります。
ほとんどのカンジダ性指間びらん症は塗り薬の使用によって治癒が期待できます。
生活上での注意
カンジダ性指間びらん症は指の間が常に湿り、角質が弱くなることで発症しやすくなります。日頃から患部を清潔に保ち、十分な乾燥を意識することが大切です。
水仕事を中断することも有効ですが、それが難しい場合には水仕事をした後はきれいに手を洗い、指の間までしっかり水分を拭き取って乾燥させる、水仕事をまとめてしてしまう、水仕事の間はゴム手袋を着用するなどの工夫をしましょう。傷ができたからといってふやけた部分にカットバンなどを貼らないようにしましょう。
予防
治療同様、指の間を清潔に保ち、よく乾燥させることが予防につながります。特に水仕事を頻繁に行っている自覚のある方は、水仕事の後はしっかり水分を拭き取り、指の間が濡れている時間ができるだけ短くなるよう工夫しましょう。
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