たなとふぉりっくこついけいせいしょう

タナトフォリック骨異形成症

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概要

タナトフォリック骨異形成症とは、FGFR3(線維芽細胞増殖因子レセプター3)と呼ばれる遺伝子の異常により、全身の骨が短くなるため低身長や呼吸障害を来す先天性骨系統疾患です。

難病に指定されており、日本では100人前後の患者さんがいると推定されています。以前は致死性骨異形成症の名称でしたが、医学的に必ずしも致死的ではないということや、ご家族への心理的な影響も踏まえて、名称が変更されています。

タナトフォリック骨異形成症では肋骨の短縮に関連した呼吸障害が強く、呼吸管理が重要です。出生後に亡くなることが多いですが、呼吸管理により長期生存も可能であると報告されています。

原因

タナトフォリック骨異形成症は、骨や脳の正常発達に重要なFGFR3と呼ばれる遺伝子の異常により発症します。家族歴がない方のFGFR3遺伝子に突然変異が生じ、発症します。

常染色体優性(顕性)遺伝と呼ばれる遺伝形式で遺伝することも想定されていますが、現在までのところタナトフォリック骨異形成症が患者さんのお子さんにも発症したという報告はなく(2019年6月時点)、どのような形で次世代に伝わるか確証は得られていない状況です。

症状

タナトフォリック骨異形成症では、全身各部位の骨が短くなることが特徴的な症状です。手足、特に大腿骨(だいたいこつ)と上腕骨が著しく短くなるため、低身長になります。相対的に皮膚(ひふ)は過剰な状態になるため、手足の皮膚にしわが寄ります。

肋骨(ろっこつ)が短縮すると、肺が収納されるスペースが小さくなり、呼吸管理を必要とするような重い呼吸不全をきたします。頭蓋骨(ずがいこつ)の変形や、腹部膨満(ぼうまん)などがみられることもあります。

骨の短縮は胎児期から認め、呼吸運動が抑制されていることと関連して羊水が多くなることも特徴です。

検査・診断

タナトフォリック骨異形成症は、胎児期の母体に対するエコー検査から疑うことが可能です。エコー検査では、妊娠中期から四肢の短縮、妊娠30週頃から羊水過多が確認されます。羊水中の胎児の細胞を用いた遺伝子検査による確定診断や、CT検査による他骨疾患との鑑別が行われることもあります。

出生後には全身のレントゲン写真を行い、四肢や肋骨の短縮、頭蓋骨の変化などを確認します。胎児期と同様、FGFR3遺伝子の異常を検出するための遺伝子検査が行われることもあります。

治療

タナトフォリック骨異形成症では、出生後早期からの重い呼吸障害のために、人工呼吸管理が必要になります。人工呼吸管理により哺乳ができなくなるため、チューブを用いた経腸栄養も必要です。

タナトフォリック骨異形成症は死に至ることもある病気ですが、呼吸管理により長期間生存できる方もいます。しかし、生命倫理の観点から議論があるため、ご家族と医療従事者の間で治療方針を話し合うことが大切です。

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