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マルチブラケット装置

俗称/その他
ワイヤー矯正
最終更新日:
2024年09月27日
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2024/09/27
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概要

マルチブラケット装置とは、矯正歯科治療に用いられる装置の1つです。一般的にはワイヤー装置とも呼ばれています。矯正歯科治療では、歯並びや噛み合わせの悪さを正常な状態に治す場合に使用されます。マルチブラケット装置の特徴は、ブラケットと呼ばれる金属やセラミックでできた部品をそれぞれの歯に直接装着することです。ブラケットにはワイヤーを通す溝があり、それぞれの歯のブラケット同士をワイヤーで連結することで、歯を三次元的に移動して歯列を整えることができます。

マルチブラケット装置はもっともオーソドックスな矯正歯科治療のための装置であり、さまざまなタイプの歯並びに対応できるのが特徴です。しかし、目立ちやすいというデメリットがあります。近年では、歯の色に近いブラケットや歯の裏側に装着できるタイプも開発されており、金額や患者の希望に合わせて装置を選択することができるようになっています。

目的・効果

マルチブラケット装置は、矯正歯科治療においてもっとも一般的に用いられる装置です。この装置の主な目的は、歯並びを整えて、噛み合わせを改善したり、口元の印象をよくしたりすることです。それぞれの歯に装着したブラケットにワイヤーを通して連結させることで、三次元的に歯を動かすことが可能です。

ブラケット装置による矯正歯科治療では、以下のような効果が期待できます。

健康上の効果

歯並びの悪さは、噛み合わせの問題を引き起こし、それにより咀嚼(そしゃく)機能や発声に異常が生じることがあります。さらに、歯並びが悪いと口腔内(こうくうない)が不衛生になりやすく、虫歯や口臭を引き起こすことがあります。

マルチブラケット装置による矯正歯科治療では、歯並びを正常な状態に治すことで、これらの健康上のトラブルを予防し改善する効果が期待できます。

審美的な効果

歯並びの悪さがコンプレックスになるケースは少なくありません。また、歯並びの悪さは口元の見た目だけではなく顎の形にも影響を及ぼすことがあり、自身の外見に対する自信を損なう可能性があります。

マルチブラケット装置による矯正歯科治療では、歯並びを正常な状態に治すことで、これらの審美的な問題や関連する心理的な問題を解決し、患者の自信を取り戻すことにつながります。

種類

マルチブラケット装置は、一般的に金属製のものが広く使用されており、滑りがよい特徴があります。一方で、金属製のものは目立ちやすく審美的な面で気になるという方も少なくありません。そのため、近年では歯の色に近いジルコニア製のブラケット、透明なプラスチックやセラミック製のより目立ちにくいブラケットを選択することもできます。

見た目が気になる方には、「舌側矯正装置」という選択肢もあります。これは歯の表側に装着する通常の方法とは異なり、歯の裏側にブラケットを装着してワイヤーを通す方法です。外見上はブラケットを装着していることが分からないため、審美性に優れています。ただし、舌などへの違和感が強いというデメリットがあります。

一方、矯正歯科治療をファッショナブルにするために、ブラケットに通すワイヤーを固定するゴムをカラーゴムにする場合もあります。

適応

マルチブラケット装置は、以下のようなさまざまなタイプの歯列矯正に適応があります。

  • 上顎前突(出っ歯)……上の前歯や上の歯全体が前に出ている状態
  • 反対咬合(受け口)……下の歯が上の歯より前に出ている状態
  • 八重歯や叢生(そうせい)(乱ぐい歯)……歯の並びがでこぼこになって乱れている状態
  • 開咬……前歯の噛み合わせが悪く上下の前歯が閉じない状態

著しい顎の変形などがある場合は手術が必要になるケースもありますが、マルチブラケット装置はさまざまなタイプの歯並びの異常を改善することが可能です。

リスク

マルチブラケット装置は、ブラケットに通したワイヤーの力で歯を移動させるため、不快感や痛みを伴うことがあります。また、歯の動き方には個人差があるため、当初の予想よりも治療期間が長引く場合があります。また、マルチブラケット装置を装着している部分やワイヤーが通っている部分は歯を磨きにくくなるため、虫歯や歯周病になる可能性が高まることがあります。そのため、治療中は特に丁寧な口腔ケアが必要となります。

そのほか、歯根吸収を引き起こすことがあります。これは歯が動く際に歯根(歯の根)が顎の骨に吸収されて短くなる現象です。歯根吸収が生じると歯ぐきが痩せて歯が全体的に下がる場合もあるため注意が必要です。また、まれですが治療中に金属アレルギー顎関節症などを発症するケースも報告されています。

治療の経過

矯正歯科治療では、患者の状態に合わせて適切な治療計画を立てます。治療を開始する前には、歯や顎関節の状態を詳細に評価し、患者や家族の希望を考慮しながら適切な治療方針を決定します。

治療方針を決定したら、まずはそれぞれの歯にブラケットとワイヤーを装着して、少しずつ力を加えながら歯を動かしていきます。顎の大きさや歯の状態によっては、美しい歯並びを美しく仕上げるため事前に抜歯をする場合もあります。

治療期間は一般的に2~3年ですが、個々の症例によって異なります。この間、約1か月ごとに診察を受け、ワイヤーにかけている力などを調節しながら目標とする歯並びへ導いていきます。

治療が完了した後は、歯並びが元に戻るのを防ぐためにリテーナーという装置を使用します。これは歯の位置を安定させるために重要な工程です。リテーナーを装着する期間は平均1~3年ですが、個人差があるため医師の指示に従うことが大切です。

費用の目安

マルチブラケット装置による矯正歯科治療の多くは保険適用外となるため費用は高額となります。自由診療であるため、費用は医療機関によって異なりますが80~120万程度が一般的です。一方で、顎変形症口唇口蓋裂など生まれつき噛み合わせが悪くなる病気がある場合には保険適用となる場合もあります。

治療にかかる費用については、初診時の検査から最終的に装着するリテーナーの作成まで含める医療機関もあれば、通院ごとに調整料が必要となる医療機関もあります。かかる費用の総額や治療が長引いた際の追加料金の有無などは事前に確認しておくとよいでしょう。

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