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口唇口蓋裂

最終更新日
2020年07月27日
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2020/07/27
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

口唇口蓋裂とは、胎児期の顔面の発達や癒合に異常が生じて上唇や口蓋(口の中の天井に当たる部位)、歯茎などを左右に分裂するような亀裂が生じた状態で生まれる病気のことです。日本では出生児の500~600人に1人が発症するとされており、比較的頻度の高い先天性疾患(生まれつきの病気)といえます。

症状の現れ方は、発達や癒合の異常の程度によって異なり、上唇だけに亀裂があるケースもあれば、上唇・口蓋・歯茎の大部分が左右に分断されているケースもあります。

口唇口蓋裂は単に“見た目”の異常が生じるだけでなく、口蓋が大きく裂けている場合はミルクや食事を十分に取れない、正常な発音ができないといった症状が見られることも少なくありません。

現在では、妊娠時の超音波検査で発見されることもあり、多くは乳幼児期に裂けた唇や口蓋をつなげる手術が行われます。

原因

口唇口蓋裂は、胎児期に顔面の発達や癒合に異常が生じることによって引き起こされる生まれつきの病気です。

私たちの顔面は左右から伸びるいくつかの突起がつながることで形成されていきます。口唇口蓋裂は、この“つながり”がうまく生じないことによって引き起こされると考えられており、“つながり”が生じない範囲や程度などによって症状の現れ方が異なります。

このような顔面の発達や癒合の異常が生じるはっきりした原因は分かっていませんが、顔や顎などの発達が進む妊娠初期における妊婦のストレスや栄養不足などが要因として挙げられています。

また、妊娠初期に胎児の発達に異常を引き起こす薬剤を使用することや、ウイルスへの感染なども口唇口蓋裂の原因の1つとなる可能性がります。さらに遺伝的な要因が関与していることや、高齢出産になるほど発生率が上昇することなども報告されています。

症状

口唇口蓋裂の症状は、胎児期の顔面の発達や癒合にどのような異常が生じたかによって大きく異なります。

軽度なケースであれば、唇の一部のみが裂けている場合も少なくありませんが、重度な場合には唇から口蓋、歯茎にかけて裂けているケースもあり、多くの場合鼻の変形も合併しています。単に“見た目”の問題を引き起こすだけではなく、哺乳や食事、発音などに異常をきたすことがあります。また、口蓋が裂けているケースでは、中耳炎を繰り返しやすくなるのも特徴の1つです。

さらに、まれではありますが、口唇口蓋裂に心疾患などほかの先天性疾患が合併する場合もあるため、治療の際には小児科医の診察が必要になることもあります。

検査・診断

口唇口蓋裂は“見た目”から容易に診断することが可能です。そのため、診断を下すために特別な検査は必要ありません。

一方で、口唇口蓋裂は症状の現れ方に個人差があります。治療方針を決めていくために唇、口蓋、歯茎など、どのような範囲が裂けているのかを確認する必要がある場合もあり、治療前に口や鼻の中を詳しく描出できるCT検査などを行うこともあります。

治療

口唇口蓋裂は、最近では妊婦健診で行われる超音波検査で生まれる前に発見されることも増えてきています。唇の裂け(口唇裂)に対しては、生後3~6か月頃に裂けている唇をつなぎ合わせる形成手術が行われます。

一方、口蓋や歯茎まで大きく裂けている場合は哺乳が困難であるばかりでなく、上顎の骨の成長にも影響を与えることになるため、生まれて間もない時期に上顎に“口蓋床”と呼ばれるプレートを装着する治療が行わることがあります。

口蓋床は成長に合わせた大きさのものに換えていきますが、最終的には口蓋や歯茎をつなぎ合わせる形成手術が必要です。しかし、口蓋をつなぎ合わせる手術は体への負担や上顎骨の成長への負の影響が大きいため、低月齢のうちに行うことが困難なケースも少なくありません。そのため、多くは言葉を覚え始める1歳から1歳半頃に形成手術が行われます。

また、口唇口蓋裂は裂けた部位をつなぎ合わせる手術をしたとしても、発音に障害が見られたり歯並びの悪さなどが目立ったりすることがあります。そのため、治療後も構音訓練や歯列矯正などが必要なケースも存在し、成人するまで経過を見ていくことが重要とされています。

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