だいりによるみゅんひはうぜんしょうこうぐん

代理によるミュンヒハウゼン症候群

同義語
他者に負わせる作為症,代理ミュンヒハウゼン症候群,MSBP
最終更新日:
2024年02月22日
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2024/02/22
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概要

代理によるミュンヒハウゼン症候群とは、子どもに病気や障害があるように見せかけ、献身的に看病することで周囲の注目を求めようとすることです。虐待の1つであると考えられており、母親が加害者となる場合が多いことが知られています。

子どもを病気に見せかけるために虚偽の訴えをするだけでなく、下剤や向精神薬を用いる、外傷を作る、感染させて発熱させる、窒息させるなど、病気と思われる症状を作り出します。健康上の問題や死の危険につながるだけではなく、虐待であることに周囲が気付かなければ不要な検査や治療が反復されることになります。また、経過が長くなって検査や治療が一段落すると、さらなる重篤な症状を作り出そうとすることもあります。

原因

背景には複雑な精神病理が関与しており、特定の原因は同定されていません。

過去に加害者自身が虐待を受けていたり、強いストレスが引き金となっていたり、人間関係が不安定であったりするなどの要因が報告されています。

症状

養育者が実際には子どもに生じていない症状を医療従事者に申告して医療機関を受診するだけでなく、下剤や向精神薬を用いたり、外傷を作ったりすることで病気に見せかける症状を作り出します。深く心配する様子を見せて献身的に振る舞うため、周囲もまさか養育者が子どもの症状を偽ったり病気を故意に作り出したりしているとは気付かずに、不要な検査や治療が反復されることになります。

検査や治療が一段落して健康上問題ないとされると、さらに重篤な状態を作り出そうとすることもあります。点滴に汚水を混ぜて敗血症を誘発したり、窒息させたりするケースもあり、被害を受けた子どもが死に至ることもあります。

また、医療従事者から疑いを持たれると突然通院を止め、別の医療機関を受診することなども少なくありません。深い医学知識を習得しており、医療従事者も見破ることが難しい巧妙な症状を作り出すこともあります。

検査・診断

代理によるミュンヒハウゼン症候群は、確立した検査方法はなく、被害者である子どもの検査結果や治療経過などからその疑いを持つことから始まります。

具体的には、医学的に種々の検査結果からは説明ができない症状を繰り返す、本来なら有効であるはずの治療がことごとく効果がない、実際に子どもに認められる症状や検査結果と養育者が訴える症状との間に矛盾がある、非常に献身的に子どもの看病をする一方で慌てるそぶりがない、養育者と子どもを一定期間引き離すと症状が改善する、養育者の面会後に症状が悪化する、複数の医療機関への受診歴があることなどが挙げられます。子どもの養育者への愛着形成が不全なことからも虐待の兆候に気付くこともあります。

代理によるミュンヒハウゼン症候群を疑った場合は、実際に薬物が使用されていないか尿検査や血液検査などを行うこともあります。また、面会時の養育者の行動を観察し、病室の出入りと病状悪化との時間的関係を確認することもあります。一定の疑いを持つ場合には、医療機関のみで対応しようとせず、警察や児童相談所に相談し連携した対応が求められます。

治療

まずは養育者と子どもを引き離し、被害者である子どもの安全を確保することが大切です。

養育者による子どもへの加害という点では警察の関与する事例であり、児童の保護という点では児童相談所の関与する事例です。養育者が自身の治療を求めることはまれですし、求めた場合においても定まった治療があるわけではありません。

予防

代理によるミュンヒハウゼン症候群に先立つもっとも早期の状態は、育児における孤独感であったり、養育の困難さであったりするかもしれません。そのため、何らかの養育支援などにつながっていれば、代理によるミュンヒハウゼン症候群に至らない可能性があります。

しかし、ひとたび代理によるミュンヒハウゼン症候群に陥った場合には、できるだけ早くその可能性を疑い、発見することが養育者にとっても被害を受けている子どもにとっても大切なことであるといえます。

代理によるミュンヒハウゼン症候群は、医療を用いた虐待(医療乱用虐待)で、被害者の子どもは不要な検査や治療を継続されるだけでなく、命の危険に陥ることもあります。疑わしいケースがあるときは児童相談所や警察などに相談しましょう。

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