概要
先天性内反足とは、生まれつき足が内側に向く変形を来し、徒手的に矯正困難な状態を指します。「内反足」と呼称されることもあります。治療をせずに放置すると、歩行に支障が生じることがあります。
先天性内反足の原因は、これまでのところ完全には解明されていません。
治療では、徒手的に足の位置を矯正した後にギプス固定を行います。変形の程度が強い場合には手術が検討され、腱や靭帯などを切断することで治療を行います。
原因
先天性内反足の原因は、これまでのところ完全には解明されていません。子宮内での胎児の体勢がよくないことを原因として発症するとも考えられています。また、足の発生そのものに異常を来たし、発症に至るとも推定されています。
先天性内反足は、足の変形として単独に発症することがある一方、二分脊椎や染色体異常など他の病気と関連して引き起こされることもあります。
症状
先天性内反足では、生まれつき足が変形した状態となります。具体的には、下記に示す4つの変形要素を組み合わせた変形となります。
- 内反:足の裏側が内側を向く状態
- 内転:つま先が内側を向く状態
- 尖足:足が下を向いた状態
- 凹足:足の裏側が凹んだ状態
先天性内反足では、歩行にも支障が生じる可能性があります。足の裏を地に着けることができずに、足の甲や足の外側で歩くようになってしまいます。
このような無理な体勢での歩行を強いられると、骨や関節に過度の負担がかかります。その結果、骨折や関節炎を起こし、発赤や痛み、腫れなどの症状をみることがあります。
また、先天性内反足ではタコや潰瘍などの皮膚症状をみることもあります。皮膚のバリア機能が障害を受けることから、細菌感染を来してしまうことも懸念されます。
検査・診断
先天性内反足は、身体診察にて生まれつきの足の変形を詳細に評価することで診断します。足の変形とは、症状の項目で記載したような内反、内転、尖足、凹足を指します。また、身体診察では、足に麻痺がないことを確認することも重要です。
先天性内反足では、足のレントゲン写真も重要です。これにより、足を構成する骨に異常がないかどうかを判定します。
鑑別診断
先天性多発性関節拘縮症に伴う内反足は、下肢の他の関節拘縮、皮膚の伸展性欠如、筋肉の線維変性などを有するので矯正が困難のために注意が必要です。
治療
先天性内反足を放置すると、歩行に障害が残ることが懸念されるため、積極的な治療介入が必要となります。治療方法としては、保存的な治療方法と外科的な治療方法があります。
保存的な治療方法
徒手的に足の位置を矯正した後にギプス固定を行います。一度に足の変形をすべて矯正することはせずに、1週間程度の間隔を置きながら徐々に矯正を重ねます。
ある程度の矯正が達成された段階で、変形の再発を予防することを目的として、デニスブラウン型装具と呼ばれる装具を装着します。装着開始から3か月ほどまではほぼ丸一日装具を装着し、以後徐々に装着の時間を短くしていきます。夜間のみの装着もしつつ、3年間ほど治療を継続します。
外科的な治療方法
変形の程度が強い先天性内反足では、手術療法が検討されます。腱や靭帯などを切断することで、治療を行います。
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