概要
先天性魚鱗癬とは、生まれたときから皮膚が異常に分厚くなる様相が見られる病気のことを指します。先天性魚鱗癬には、道化師様魚鱗癬やケラチン症性魚鱗癬など、さまざまの病気が含まれており、包括的な疾患名であるといえます。
この病気は、日本において難病指定を受けているものの一つに挙げられます。これによると、日本においては200名ほどの患者さんがいると推定されており、現在までのところ根治的な治療方法は確立されていません。
皮膚の障害は一生涯持続するため、保湿剤やワセリンの使用などで対症療法を行うことが欠かせません。症状に合わせた公的サポートを受けながら、専門の医療機関において継続的な診療を受けることがとても重要な病気です。
原因
先天性魚鱗癬は、さまざまな遺伝子異常を原因として引き起されることが知られています。たとえば、ABCA12、TGM1、ALOX12Bなどの遺伝子に異常が生じることで、病気の発症に至ると考えられています。先天性魚鱗性における原因遺伝子は、皮膚が正常に形成され活動するために必要とされる遺伝子であり、したがってそれらに異常が生じることで先天性魚鱗性に特徴的な皮膚症状の出現につながると想定されています。
遺伝子異常を原因として発症する先天性魚鱗癬は、疾患に応じてさまざまな遺伝形式をとることが知られています。遺伝形式に応じて、お子さんに病気が伝わる可能性が異なったり、男児に見られやすかったりなどの特徴があります。
症状
先天性魚鱗癬では、生まれたときから皮膚に症状を見ることが特徴のひとつです。具体的には、皮膚が分厚くなる、水ぶくれが形成されるなどの症状が見られることがあります。また、眼や唇などの粘膜にも病変が生じることもあります。こうしたことから、先天性魚鱗癬では審美性への影響が懸念されます。その他、耳の形が変形する、手の指が硬くなる、等の症状が見られることもあります。
見た目の症状が前面に認識される先天性魚鱗癬ですが、皮膚の機能障害に関連した症状も出現する可能性があります。皮膚は外的な病原体から身体を守るためのバリアとしてのはたらきを有しています。また、正常な皮膚は水分を体内に蓄え、適切な水分調整、体温調整をするためにも欠かすことができません。しかし、先天性魚鱗癬では、こうした機能が喪失され、感染症や脱水、体温の異常などが生じる危険性があります。これらによって、発熱、局所の発赤や痛み、腫れなどの症状につながることもあります。
その他、耳の聴こえの低下、精神発達遅滞、手足の麻痺、歯の異常などが見られることもあります。
検査・診断
先天性魚鱗癬は、生まれつきの皮膚変化があることから病気の存在が認識されます。血液検査を行うことで、病気に特徴的な変化が生じていないかどうかを検索します。また、皮膚の一部を採取し顕微鏡で観察することで、病気に特徴的な変化を探索することもあります。
先天性魚鱗癬は、病型に応じてさまざまな遺伝子異常が知られています。原因となる遺伝子異常が存在しないかどうかを検索することを目的として、遺伝子検査が行われます。
以上のような観点から診療を受けることで、数多く存在する先天性魚鱗癬の中のどのタイプであるかを最終決定します。
治療
先天性魚鱗癬では、現在までのところ根治的な治療法の確立には至っていません。皮膚における障害が基盤に存在する病気であるため、ワセリンや保湿剤などの外用薬を用いて、皮膚の状態を正常に近づけるよう試みます。入浴に際しては、無理に皮膚を擦ることで症状が増悪することもあります。そのため、身体を洗う際には過度の刺激を避けることも、皮膚の状態を良好に保つためには重要な視点の一つであるといえます。
また、皮膚のバリア機能が損なわれることと関連して、感染症や水分バランスの異常、体温障害などが生じることがあります。これらに対応するために、点滴や抗生物質の使用などが検討されることもあります。
先天性魚鱗癬は、日本においては難病指定を受けた病気の一つです。症状に応じて受けることができる公的サポートは異なるため、医療機関で相談をすることが大切です。また、遺伝性が問題となることもあるため、必要に応じて遺伝カウンセリングを実施することも大切です。
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