ぜんぼうしゅっけつ

前房出血

最終更新日:
2023年02月20日
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2023/02/20
更新しました
2017/04/25
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概要

前房出血(ぜんぼうしゅっけつ)とは、目の角膜と虹彩と呼ばれる部位で囲まれた空間に出血が生じる病気のことです。

主な原因は、目に外傷や手術侵襲により何らかの外力が加わることとされています。多くは数日で血液が吸収されますが、出血量が多い場合は時間が経過してもたまった血液が吸収されず、角膜にダメージを引き起こしたり眼圧(目の中の圧)を上昇させたりすることで視力低下を引き起こすことが知られています。また、けがをした数日後に再出血することもあるため安静を維持することが必要です。

前房出血を発症した場合、たまった出血量が多い場合や血液をサラサラにする薬剤を内服中の場合にはたまった血液を取り除く手術が必要になることがあります。また、手術が必要ない場合でも安静を維持したうえで、炎症を抑えたり眼圧を下げたりする目薬での治療を行うのが一般的です。

原因

前房出血は、目に入る光の量を調節する虹彩という部位が切れて目の表面の透明な角膜と虹彩に囲まれた“前房”に出血が生じる病気のことです。

主な原因は眼球への外力とされており、特に球技や格闘技などのスポーツで発症しやすいとされています。そのほか、糖尿病などによって生じる眼内の異常血管の破綻によって起こることもあります。

また、抗凝固薬など血液が固まりにくくなる薬剤を内服中の方は発症リスクが高くなるため注意が必要です。

症状

前房出血は、外傷などにより虹彩の一部が切れて角膜と虹彩の間の空間である“前房”に出血が生じます。発症直後は明るい光に当たると目の痛みやかすみなどを自覚することもありますが、多くは数日以内にたまった血液が吸収されて自然に回復していきます。

しかし、たまった血液量が多い場合や受傷後に再出血した場合などは角膜に色素沈着が生じたり、眼球内の圧力が上昇して視神経にダメージを引き起こす“緑内障”を併発したりすることで永続的な視力低下を引き起こすことがあります。

検査・診断

前房出血が疑われるときは次のような検査が行われます。

眼科的検査

前房出血を発症すると外見から前房に血液がたまっているのを確認できる場合があります。しかし、前房出血の有無や出血量の程度などを確認するためには細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)などの眼科的な検査が必要となります。

また、前房出血は眼球内の圧を上昇させて緑内障を引き起こすことも知られており、受傷後は定期的に眼圧検査が行われます。

血液検査

発熱などの症状を伴う場合や全身疾患に伴う出血が疑われる場合、血液検査を行うことがあります。

治療

前房出血は出血量が少量の場合、たまった血液は数日で吸収されて自然に回復していきます。

しかし、再出血を起こすこともあるため安静を維持し、頭に血が行かないように、頭を常に心臓の位置より高くしておくことが必要です。また、炎症が強い場合は炎症を抑える目薬、眼球内の圧が上昇している場合は緑内障の併発を予防するために圧を下げるための目薬による治療が必要になります。

一方、たまった血液量が多い場合や出血が止まりにくくなる薬剤を内服中の場合は視力障害や再出血が生じる可能性が高くなるため、たまった血液を排出して前房内を洗浄するための手術を行うことがあります。

予防

前房出血は多くの場合、眼球への外力によって引き起こされる外傷の1つです。そのため、前房出血を予防するには眼球への外力を避ける必要があります。

前房出血は球技や格闘技などが原因で発症しやすいことが知られており、スポーツをする場合は眼球への外力を抑える対策を講じることが大切です。特に、抗凝固薬などを内服中の場合は前房出血のリスクが高まり、重症化しやすいため注意しましょう。

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