治療
腫瘍や周辺組織の切除(内視鏡的切除または外科的切除)や、薬物療法が主な治療です。
どのような治療を行うかは、病気の進行度(ステージ)を参考に決定します。
- ステージI:リンパ節転移がなく、病巣が粘膜の比較的表面にとどまっているもの
- ステージII:リンパ節転移がなく、病巣が粘膜の深部(粘膜下層)に達しているもの
- ステージIII:病巣の深さに関係なく、リンパ節転移がみられるもの
- ステージIV:ほかの臓器への遠隔転移がみられるもの
腫瘍や周辺組織の切除
遠隔転移がないステージIIIまでの十二指腸腺がんの場合、病巣の切除を基本とします。このうち、病巣が浅いステージIの場合は内視鏡的切除で治療可能なことがあります。内視鏡的切除は、内視鏡を用いて小腸の内部からがんを切除する方法です。傷口が小さく済むため体の負担が少ないというメリットがありますが、十二指腸は壁が薄く内視鏡的切除によって壁に穴が開く穿孔のリスクが高いとされています。
ステージIでも内視鏡的切除が難しいケースやステージIIからIIIの場合は、お腹を切り開いてがんやその周辺組織を切除する外科的切除が行われます。がんの広がりが大きい場合は周囲のリンパ節も含めて切除する必要があるため、膵頭十二指腸切除術が行われることが多いです。
薬物療法
ほかの臓器への転移がみられるステージIVや手術後の再発の場合は、全身のがん細胞に効果を示す薬物療法が必要になります。ただし、現時点では十二指腸腺がんに効果があると証明された薬が存在しないため、大腸がんに準じた治療、あるいは胃がんに準じた治療が行われることが一般的です。
用いられる薬剤には、フルオロウラシル(5-FU)、レボホリナートカルシウム、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(S-1)、カペシタビン、シスプラチン、オキサリプラチン、イリノテカン、ドセタキセル、パクリタキセル、ナブパクリタキセル、トラスツズマブ、ラムシルマブ、ニボルマブなどがあります。これらを用いた単独療法、あるいは多剤併用療法が行われます。
多剤併用療法には、胃がんに準じたCF療法、CS療法、SOX療法など、大腸がんに準じたFOLFOX療法、CAPOX療法があり、さらに最近では分子標的薬を併用する治療も行われています。
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