治療
バイタルサインを安定させるための処置が重要です。必要に応じて気管挿管を行い、人工呼吸管理を行います。また、血圧を安定させるために、輸液に加えて血液製剤の輸血も行うことがあります。
気胸や血胸、心タンポナーデなどが血行動態(血液の量と流れ方)や呼吸状態に悪影響を及ぼしていると判断される場合には、針を刺し空気や血液の排出を促します。
複数の臓器に損傷が及ぶ多発外傷では、どの部位に対してアプローチをすることで生命を救えるかを確認しつつ、治療方針を決定します。腹腔内出血が多い場合には、血管内治療で動脈閉塞術を行ったり、手術を行うことで出血部位をコントロールしたりします。頭蓋内で急性硬膜外血腫や急性硬膜下出血、外傷性くも膜下出血を来しているときには、手術を考えます。骨盤出血も大量出血につながることがあるため、早期の治療が求められます。
多発外傷は、損傷部位の状態を確認するだけでなく、どの程度その損傷が緊急性を要するかを判断することが重要です。この観点から、多発外傷では救急科、整形外科科、脳神経外科、消化器外科、麻酔科の医師など、複数科が関わる集学的な治療が必須であるといえます。
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