概要
大腿骨内顆骨壊死とは、多くは膝関節の内側の大腿骨(太ももの骨)の内側に微小な骨折が起こり、骨の一部が壊死する病気です。
原因としては、加齢に伴う骨粗鬆症や膝関節のクッションの役割をきたしている半月板の損傷などが考えられます。
大腿骨内顆骨壊死は60歳以上の女性に発症することが多く、発症すると膝関節の強い痛みが生じます。痛みによって歩行が困難になり、進行すると手術が必要になることもあります。
原因
大腿骨内顆骨壊死は、微小な骨折による血管損傷が起こることにより局所で血流障害が生じ、骨への血流が途絶えて骨組織が壊死することにより生じると考えられています。
微小な骨折が起こる原因としては、骨粗鬆症、半月板損傷、肥満、もともと存在していた軟骨の損傷(変形性膝関節症)など様々な因子が関連しているといわれていますが、完全には解明されていません。
症状
大腿骨内顆骨壊死を発症すると、突然膝関節の内側に非常に強い痛みが生じます。夜間など安静にしていても痛みが増すのが特徴です。
体重の増加や膝に負担をかけるような動作によって痛みが増強し、歩行に支障が生じることもあります。時間経過とともに膝の腫れがみられ、膝関節の変形が進むと変形性膝関節症へと進行することがあります。
検査・診断
大腿骨内顆骨壊死では、膝周囲のX線検査やMRI検査といった画像検査を行います。
これらの画像所見から大腿骨内顆骨壊死の診断・重症度の評価を行いますが、発症初期にはX線検査で異常な所見がみられない場合もあり、見逃されるケースもあります。
一方で、MRI検査は早期の段階から異常な所見を確認することができ、早期診断に適していると考えられています。
治療
大腿骨内顆骨壊死の治療方法には、保存療法と手術があります。年齢や症状、重症度などに応じて治療方針を決定します。
保存療法
軽症の場合には、保存療法を選択します。
痛みが強いときはできるだけ膝に負担をかけないように安静にします。痛みに対しては、膝への負担を和らげるために膝のサポーターや靴の中に入れる足底板などの装具を使用し、鎮痛薬の飲み薬や注射などを用いて薬物療法を行います。
また、筋力アップを目指したリハビリテーションや、肥満によって体重が膝への負担になっている場合は減量指導などを行うこともあります。
手術
保存療法では効果が得られない場合や、骨壊死をきたしているサイズ(面積)が大きい場合、半月板の損傷形態によっては手術を検討します。手術方法としては、骨切り術や人工関節置換術などが選択されます。
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