症状
廃用症候群の症状の現れ方には個人差がありますが、具体的には以下のような症状が引き起こされます。
筋力低下、関節拘縮、骨粗鬆症
身体活動が低下するため、筋力の低下、関節拘縮などが生じます。特に寝たきりの状態になると、筋力は1週間で10~15%程度低下し、萎縮が進むとされています。
また、過度な安静は骨の代謝異常を招き骨粗鬆症を発症しやすくなる可能性があります。特に栄養状態が悪い場合や、ステロイド治療を受けている場合などは、骨密度が低下しやすいため骨粗鬆症が進行しやすいと考えられています。
心機能の低下
廃用症候群では心臓の機能が低下するため、持久力が低下して疲れやすさや脱力感を覚えるようになります。また、起立性低血圧やめまい、失神などの症状を引き起こすこともあります。
血栓症
長い時間体を動かさずにいると脚の静脈の血流が悪くなり、血栓ができやすくなります。重症な場合では肺塞栓症など命に関わる病気を引き起こすケースがあります。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液などと共に細菌が気管に入ることで発症する肺炎です。発熱や咳、膿のような痰が出るほか、食欲の低下や喉がゴロゴロ鳴るといった症状が現れます。
特に寝たきりとなった場合は物を飲み込む機能が低下するほか、口腔内が清潔に保たれにくくなることで口内に細菌が増殖しやすくなります。その結果、食べ物や唾液などが気管に入り込み、細菌が肺に侵入やすくなります。
尿管結石、尿路感染症
寝たきりの状態が続くと、運動不足によって骨からカルシウムが溶け出して尿に多くのカルシウムが出るようになるため、尿管結石を発症しやすくなります。また、バルーンカテーテルを留置中の場合は尿路感染症を発症しやすいため注意が必要です。
便秘
身体活動が減ると大腸の蠕動運動が低下するため、便秘になりやすくなります。
精神症状
身体活動の過度な制限は精神症状を引き起こすことがあります。具体的には、周囲の人との社会的な関わりが減ることによって意欲や集中力の低下、抑うつ状態などが生じ、進行すると認知症に至る可能性があるとされています。
また、時間や場所などが分からなくなる“見当識障害”が現れることがあるほか、重症な場合には幻覚や妄想などの症状が現れることもあります。
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