じょくそう

褥瘡

別名
床ずれ
最終更新日
2020年11月27日
Icon close
2020/11/27
更新しました
2020/11/19
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

褥瘡(じょくそう)とは、寝たきりの状態や車椅子生活などをきっかけとして皮膚の血流が滞ってしまうことで生じる皮膚病変を指します。褥瘡は圧迫を受けやすいお尻や腰骨周囲、(かかと)、肘などに生じることが多く、皮膚の赤みやただれ、ひどくなると潰瘍(かいよう)や細菌感染を生じる場合もあります。

一般的には“床ずれ”と呼ばれています。高齢化が加速する日本においては脳梗塞などで寝たきりになる人も多くなっており、看過することができない問題です。

より早期の段階から褥瘡の皮膚症状を察知し、重症化を予防することが重要です。

原因

褥瘡が生じる理由

就寝中や座っているときなどには、皮膚の一部が布団や椅子と接することになります。接触を受けている皮膚には一定の圧力がかかり、血液が流れにくい状態になります。就寝中であっても、私たちは無意識のうちに体位を変えることで圧力が一部の皮膚にかかり続けないようにします。

しかし、脳卒中などで寝たきりになっている人や、手術後で体位変換がうまくできない人、筋肉や神経の病気に関連して動けない人などは自分の意識で体位を変えることができません。そのため、一部の皮膚に対し持続して圧力がかかり続けることになり、血流障害をきたすようになります。また、体位変換の際のずれ力も大きく影響します。

十分な血流が担保されない状態が持続すると皮膚に十分な栄養や酸素が行き渡らなくなり、結果として褥瘡を生じるようになります。寝ている際に床と接する部分は特に圧迫を受けやすく、骨の出っ張りがある部位(仙骨部(せんこつぶ)、踵や臀部(でんぶ)、肘など)に褥瘡を認めることが多いです。

褥瘡が生じやすい状況

褥瘡は脳卒中や脊髄損傷、また手術後など寝たきりの状態や車椅子生活を強いられる場合に誘発されることが多いです。そのほか、糖尿病では神経障害や血流障害をきたしやすいため、褥瘡の発生に注意が必要です。

また悪性腫瘍(あくせいしゅよう)うっ血性心不全骨盤骨折、慢性肺疾患なども褥瘡発生のリスクが高いことが知られています。栄養状態も褥瘡の発生に関わります。

症状

褥瘡は皮膚の変化として認識されることになります。

初期

丸く赤みを帯びたように見えたり、血豆や水ぶくれができたりすることがあります。1〜2週間ほど経過すると、この状態から治癒に向かうか、さらに進行して慢性化するかに分かれます。

慢性化した場合

皮膚症状がさらに悪化し、浅い褥瘡や深い褥瘡が形成されます。

浅い褥瘡

急性期の皮膚症状と同様、皮膚の赤みや水ぶくれがあります。皮膚の再生に重要な細胞はまだ残存している状態であり、より短い時間で治癒を期待することができます。

深い褥瘡

褥瘡が深い状態に進行すると、皮下組織や筋肉にも病変が広がることがあります。皮膚の表面が大きく壊死(えし)した組織で覆われることもあり、見た目が黒く乾燥してきます。

治療に際しては、死んだ組織を取り除きながら経過を見ることになります。浅い褥瘡よりも治癒までに大幅に時間がかかります。

褥瘡は正常な皮膚が損傷を受けている状態です。なおかつ、栄養状態や免疫状態など全身状態が悪いことが多く、褥瘡部位から細菌感染を起こすこともあります。細菌感染が局所にとどまらずに全身へと広がることもあり、発熱などの全身症状を呈することもあります。

検査・診断

皮膚所見をもとに診断します。特に確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 皮膚の損傷の深さや大きさ
  • 滲出液(しんしゅつえき)の量
  • 炎症や感染徴候の有無
  • 肉芽組織の状態
  • 壊死組織の有無

など

また、皮膚の下にポケット状の空洞ができてしまうこともあるため注意が必要です。ポケットは外表から見ただけでは分からないこともあるため、触診やエコーを用いて褥瘡の状態をより正確に評価することがあります。

褥瘡の皮膚所見を正確に判断することは治療方針の決定に必要不可欠なステップです。

また、局所の細菌感染が疑われる場合には局所の検体を採取して培養検査を行うこともあります。

治療

重症化の予防

早期の段階から皮膚変化を察知して、重症化を予防することが重要です。そのため、褥瘡ができやすい状態(寝たきりや栄養失調など)を把握したうえで、褥瘡のできやすい部位(骨が出っ張っている部分)を定期的に観察し、予防処置をとることが大切です。

褥瘡発生のリスクが高いと判断した際には、体位変換し圧迫を解除します。圧迫を軽減するようなマットレスやベッド、クッションを導入することも大切です。褥瘡発生を予防するドレッシング材も有効です。

また、栄養状態が悪いと褥瘡の治りが悪くなるため、栄養状態を評価・改善することも重要です。さらに、汗を多くかいていたり排泄物が付着していたりすることもよくないため、清潔を保つことも必要です。

褥瘡に対する処置

褥瘡ができてしまったら、まずは患部を生理食塩水かきれいな水で洗い、染み出している体液や汗、尿や便などの排泄物を取り除きます。患部をきれいに保つことで感染のリスクが減り、新しい上皮の形成を促すことができます。

傷や、えぐれてしまって溝ができている場合は、中にある異物や壊死組織(死んでしまった組織)を取り除き、細菌が増えないようにします。こうした異物が存在すると、正常な治癒過程が著しく阻害されてしまいます。

感染を併発している場合

傷口を覆ってしまうとさらに感染を悪化させることになるため、1日に1回~数回洗浄し、まずは感染を抑えることが重要です。

感染を抑えたり壊死組織を除いたりしながら、外用薬(塗り薬)やドレッシング材を用います。使用されるドレッシング材や外用薬は多岐にわたります。褥瘡の状態に応じて適切なものが適宜選択されます。

医師の方へ

褥瘡の詳細や論文等の医師向け情報を、Medical Note Expertにて調べることができます。

この病気の詳細を調べる

「褥瘡」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

関連の医療相談が4件あります

※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

褥瘡を得意な領域としている医師