インタビュー

褥瘡を予防する必要性ー感染症のリスクと合併症について

褥瘡を予防する必要性ー感染症のリスクと合併症について
立花 隆夫 先生

枚方公済病院 皮膚科 科長

立花 隆夫 先生

この記事の最終更新は2016年01月30日です。

褥瘡は単なる皮膚疾患というだけではなく、褥瘡ができることによって二次的な合併症が生じることがあります。また合併症によってもともと寝たきりになってしまう原因となった病気(原疾患)の治療の妨げになってしまうこともあります。今回は、褥瘡の合併症やそうならないための予防策について、引き続き大阪赤十字病院皮膚科部長の立花隆夫先生にお話をお伺いしました。

褥瘡は放置しておくと皮膚の炎症が悪化し、水ぶくれや、が溜まった膿瘍を形成することもあります。さらに進行すると褥瘡から体液が漏れ出ることで、体に必要な水やタンパク質などの栄養素が失われ低蛋白血症を起こしてしまうこともあります。

また、傷口から細菌感染症を起こすこともあります。骨まで達するような深い褥瘡ができてしまうと、骨に感染して骨髄炎を起こす危険もあります。さらに菌が血液内に侵入してしまうと、敗血症といって血液を介して全身に菌が回ってしまい、最悪の場合死亡するケースもあります。

褥瘡を起こす患者さんは高齢者や長期入院の方が多く、体力も免疫力も低いため、上記のような皮膚からの感染症のリスクは高い状態にあります。そのため、そもそも合併症が起こりやすくなっているため、褥瘡の早期発見は合併症を予防するという観点でも非常に重要です。

褥瘡は皮膚が傷つきやすく薄くなっていたり、柔らかい部位にできやすくなります。そのため尿や便失禁によって陰部や肛門周辺の皮膚がふやけることで褥瘡が発生しやすくなることがあります。尿や便が付いた状態で長時間放置すると、皮膚への刺激が加わりやすくなるためです。

排泄物から皮膚を保護するために、こまめに排泄管理(オムツの交換)をすることが大切です。また、皮膚をきれいに拭いた後に、肛門・外陰部からその周辺の皮膚に保湿クリームを塗っておくことで、皮膚の保護につながります。お尻を拭くときには、強い刺激を与えないよう、ゴシゴシ擦らずにやさしく丁寧に洗うようにしましょう。石鹸を使う場合にも直接石鹸をつけるのではなく、泡立てた石鹸でなでるようにし、十分に洗い流すようにしましょう。

受診について相談する
「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。
  • 枚方公済病院 皮膚科 科長

    日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医・美容皮膚科・レーザー指導専門医日本アレルギー学会 アレルギー指導医

    立花 隆夫 先生

    褥瘡を含む創傷治癒、膠原病、皮膚外科を専門とする。日本褥瘡学会近畿地方会(代表世話人)を務め、褥瘡の予防・治療・管理のためのガイドライン策定にも携わっている。褥瘡対策の専門家としてこの分野の発展に大きく貢献している。

    関連の医療相談が5件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「褥瘡」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
    実績のある医師をチェック

    褥瘡

    Icon unfold more