治療
治療の考え方
治療開始前に治療の目的について医師からよく説明を受け、理解したうえで行うことが大切です。二次性徴を不必要に遅らせることは、二次性徴期で獲得すべき骨塩量を減少させるとされ、将来的な骨粗鬆症発症のリスクを上げるとされています。また、中学生になっていつまでも二次性徴がこない状態は心理的にも好ましくありません。治療は最小限に留めるべきとされています。
思春期早発症の治療目的は2つです。すなわち、二次性徴が幼い年齢で出現することによる心理社会的問題の解消と最終身長予後を改善することです。ここで大切なことは、思春期早発症と診断された症例の全てが治療対象となるわけではないことです。特に身長に関しては、一般に女性で6歳以降、男性で9歳以降に治療を開始する場合には、改善が期待できないとされていることに注意が必要です。
治療法
基礎疾患によって発症した場合にはその原因に対する治療を行います。治療は原因によりさまざまです。
一方、女児に多くみられる特発性中枢性思春期早発症の場合は、ゴナドトロピン(LH、FSH)の分泌を抑え、性ホルモンの分泌を抑制させる目的で、“LH-RHアナログ”という薬を使用します。この薬はほぼ確実に二次性徴を抑制できることに加え、適切な使用範囲であれば想定外の副作用がほぼないこと、使用を中止することで確実に二次性徴の回復が期待できることが特徴です。原則、月1回の皮下注射で治療します。
LH-RHアナログの治療では、もともとの薬がもつ作用の結果、1回目投与で女性の場合、性器出血が生じる可能性があることに注意が必要です。これは性成熟がある程度進行してから治療する場合に多くみられます。通常、投与後1週前後で生じます。
二次性徴は治療中止後速やかに回復します。女児の場合、治療を始める前に性器出血があった場合は3~6か月以内、性器出血がなかった場合は2年以内にほぼ全ての例で月経が起こります。
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