原因
倒壊した家屋に挟まれるなど、何らかの重量物に圧迫され続けた傷病者が、救助後に挫滅症候群を発症し、急性腎不全やショックを起こすことがあります。この原因は、圧迫により血流が遮断され、筋肉の障害が起こった後、再び血液が全身を巡ることにあります。
圧迫され続けている筋肉の細胞では、細胞膜が破壊され、内容物の流出が起こります。これを横紋筋融解といい、具体的にはクレアチンキナーゼやミオグロビン、カリウムなどの物質が筋細胞の外へ流れ出し、圧迫された部位付近に滞留します。
その後、重量物が取り除かれて圧迫が解除されると、停滞していた物質は血流に乗って全身を巡るようになり、高カリウム血症などが起こります。血液中のカリウム濃度が高くなる高カリウム血症が進行すると、致死的な不整脈を起こしやすくなり、心停止に至ることがあります。
また、血液中に流出したミオグロビンが尿細管を塞いでしまい、急性腎不全をきたす原因となります。急性腎不全を発症することで、先述の高カリウム血症が助長されることもあります。圧迫により組織が障害され、血流の再開により血液中の水分が血管の外へと急速に漏れ出てしまい、血圧が低下してショックが起こることがあります。
また、水分の漏出により下肢が腫れていきます。足などの局所では、重度の腫れによりコンパートメント症候群を併発することもあります。
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