治療
早期障害と晩期障害とで以下のような治療が行われます。
早期障害に対する治療
早期障害の場合には、症状を和らげるための対症療法が中心に行われます。対症療法としては、薬物療法による排便コントロールなどが行われます。
また、放射線性腸炎による症状や腸管の状態などを考慮し、原疾患の治療を続けるかなどが検討されることもあります。
晩期障害に対する治療
晩期障害の場合には、排便コントロールに加え、内視鏡治療が行われることもあり、重症の場合は外科的手術が必要になることもあります。
血便がみられていても貧血がない場合には、排便コントロールを行って経過を観察します。しかし、血便によって貧血の程度が進行している場合には、“アルゴンプラズマ凝固法(APC)”と呼ばれる粘膜の血管拡張を焼灼する内視鏡治療が考慮されます。
アルゴンプラズマ凝固法は、アルゴンガスという特殊なガスを用いて、障害された腸管の血管拡張を焼灼・凝固する治療法です。出血源となっている血管拡張を瘢痕化させることで止血効果が期待できます。効果的な治療法である一方、腸管粘膜の状態によってはかえって出血を増やしてしまったり潰瘍を作ってしまったりする恐れがあるため、弱い出力で複数回に分けて治療を行うことがあります。
また、狭窄が強い場合や瘻孔がある場合などは外科的手術を考慮することもあり、手術方法には、“病変部切除術”と“人工肛門造設術”があります。
このほか、症状に応じて薬物注腸療法や高気圧酸素療法などが行われることもあります。
注腸療法とは薬剤を肛門から注入する治療法で、放射線性腸炎によって弱くなった腸管粘膜を保護したり、出血しやすい血管を修復したりできる可能性があります。
高気圧酸素療法は圧力の高い装置内で酸素マスクから高濃度の酸素を吸入する治療法で、血管を新生することで腸管の創傷治癒を促すことなどが期待できるといわれています。
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