ちし

智歯

同義語
第三大臼歯,親知らず
最終更新日:
2024年09月27日
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2024/09/27
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概要

智歯(親知らず)は、永久歯の中でもっとも奥に生える歯です。前歯から数えて、8番目の歯にあたります。一般的に永久歯は15歳前後で生え揃いますが、親知らずが生えてくるのは10歳代後半から20代歳前半です。ひとり立ちしてから親に知られずに生えてくる歯であることから“親知らず”と呼ばれるようになったといわれています。また、親知らずは通常左右の上顎と下顎に合計4本ありますが、元々親知らずがない方や、4本全てが揃っていない方もいます。

親知らずが問題を引き起こす主な原因は、顎のスペース不足です。多くの場合、ほかの永久歯がすでに生えているため、親知らずが生えるための十分なスペースがありません。その結果、親知らずが顎の骨に埋まったままになることがあり、これを「埋伏智歯(まいふくちし)」と呼びます。また、横向きや斜めに生える場合もあり、これが周囲の歯や歯肉に悪影響を及ぼすことがあります。

親知らずが正しく生えないと、痛みや腫れが発生しやすくなります。特に半分だけ露出した状態(半埋伏)では、歯ブラシが届きにくく、汚れが溜まりやすくなるため、炎症や感染のリスクが高まります。また、親知らずが隣の歯を圧迫すると、歯並びが乱れる原因にもなります。これらの症状が生じた場合、一般的な治療法として親知らずの抜歯が行われます。

特に症状がない場合でも、将来的なトラブルを避けるために予防的に親知らずの抜歯が推奨されることもあります。これは、親知らずが突然問題を引き起こすことがあり、早期の抜歯が後々の複雑な治療を防ぐために有効であるためです。したがって、親知らずが生えてきた場合、早めに歯科医師に相談し適切な処置を受けることが重要です。

種類

親知らずには、主に3通りの生え方があります。

正常な生え方

親知らずがまっすぐ生え、上下で噛み合っている状態です。むし歯や炎症などのトラブルがなく、他の歯を圧迫していなければ、無理に抜歯する必要はありません。

横向きや斜めに生えている

親知らずが横向きや斜めに生えている場合は、さまざまなトラブルの原因となるため、多くの場合は抜歯がすすめられます。

たとえば、横向きや斜めに生えた親知らずが一部だけ歯肉から出ていると智歯周囲炎(親知らず周辺の歯肉の炎症)が起こりやすくなります。また、隣の奥歯の根を吸収して侵食してしまうこともあります。

顎の骨の中に埋まっている

親知らずが完全に顎の骨の中に埋まっており、痛みや腫れなどの症状がなければ無理に抜歯する必要はありません。ただし、埋まっている親知らずの周囲に嚢胞(袋状のできもの)が形成されると神経を圧迫したり、痛みや腫れが生じたりする場合があります。そのため、X線検査で嚢胞が確認された場合は抜歯が検討されます。

原因

親知らずの生え方に異常が生じやすい原因の1つは、顎のスペース不足です。現代人は顎の骨が小さくなっているため、親知らずが生えるためのスペースが不足し横向きや斜めに生えることが多くなります。このため、親知らずが隣の歯や歯肉を圧迫して、痛みや炎症を引き起こすことがあります。また、横向きや斜めに生えた親知らずは、隣接する歯との間に食べかすが溜まりやすい状態です。歯ブラシが届きにくいため、汚れが蓄積して、歯肉の炎症(智歯周囲炎)やむし歯が発生します。根本的な原因が解決されない限り、これらのトラブルは繰り返し生じやすい状態が続きます。

症状

親知らずが生えてくる際にほかの歯が圧迫されると痛みが生じます。親知らずが生えるための顎のスペースが足りない場合は、ほかの歯を押す力が強まりより痛みを感じやすくなります。

横向きや斜めに生えている親知らずを放置すると、智歯周囲炎やむし歯などの口腔トラブルを引き起こし痛みや腫れが生じます。

智歯周囲炎が進行すると顎の骨にまで炎症が及び、顔が大きく腫れることもあります。また、むし歯は親知らずそのものだけでなく隣接する歯にも及ぶ場合があり、重症になると親知らず以外の歯も抜歯することになりかねません。

横向きに埋まった親知らずは隣の奥歯の根を溶かして吸収してしまうこともあり、放置した場合吸収された歯の寿命を縮めてしまうリスクもあります。

検査・診断

親知らずの状態を確認するためには、X線検査や歯科用CT検査などの画像検査を行います。X線検査では、手軽に骨の中に埋まっている歯の状態を確認することができます。また、歯科用CT検査では歯だけでなく神経の位置まで3次元的に確認できます。

親知らずの生え方は人によってさまざまで、治療計画を立てるためには画像検査が欠かせません。

治療

親知らずが何らかの口腔トラブルを引き起こしている場合、抜歯が検討されます。ただし、親知らずには抜いた方がよい場合と抜かなくてもよい場合があります。

<抜いた方がよい場合>

  • 横向き・斜め向きに生えてほかの歯に影響を及ぼしている
  • 親知らずやその周辺に痛み・腫れがある
  • 親知らずの隣の歯がむし歯になっている
  • 骨に埋まっている親知らずの周囲に嚢胞が見られる

<抜かなくてもよい場合>

  • まっすぐ生えており上下で噛み合っている
  • 完全に骨の中に埋まっているが、症状や検査による異常がない
  • 横向き・斜め向きに生えているが、矯正で正常な位置に動かせる

親知らずがまっすぐ生えていれば、局所麻酔をしたうえでペンチのような形状の鉗子で抜歯します。しかし、親知らずの生え方や形状によっては、歯肉を切開したり骨を削ったりする処置が必要となる場合があります。

抜歯後は細菌感染のリスクを低減するため、抗菌薬を処方されることがあります。歯科医師や薬剤師の指示にしたがって正しく服用しましょう。また、抜歯後に腫れや痛みが生じる場合もあります。術後3日程度が痛みや腫れのピークといわれていますが、なかなか症状が改善しない場合や悪化する場合は抜歯を受けた医療機関に相談しましょう。

予防

親知らずは一番奥に生えるため歯ブラシが届きにくく、智歯周囲炎やむし歯などのトラブルが起こりやすい歯です。また、横向きや斜め向きに生えている場合はほかの歯を圧迫して歯並びに影響をおよぼすこともあります。

口腔トラブルを予防するためにも、親知らずが生えてきた場合は、一度歯科や口腔外科を受診して生え方に問題がないか診察や検査を受けるとよいでしょう。

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