りじょうきんしょうこうぐん

梨状筋症候群

最終更新日:
2024年06月25日
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2024/06/25
更新しました
2019/01/23
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医師の方へ

概要

梨状筋症候群とは、股関節(こかんせつ)を支える平らな梨状筋が収縮して硬くなり坐骨神経*を圧迫することで、お尻の外側から足の付け根にかけて痛みやしびれが生じる病気です。

車の運転やスポーツなどによって梨状筋に繰り返し負荷がかかることで、発症するといわれています。

梨状筋症候群を疑う場合は、まず臀部の梨状筋がある部位に圧痛があるかを徒手検査で確認します。次に坐骨神経を描出する特殊なMRI検査や電気生理学的検査、ブロック注射**などにより総合的に診断します。

治療としては、運動の制限や脚のストレッチに加え、神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)治療薬の内服、神経ブロック療法などにより痛みを和らげる保存療法が中心になります。また、頻度は少ないものの、保存療法で症状が改善しない場合は手術を行うことがあります。

*坐骨神経:梨状筋の下を通って骨盤から足のつま先にかけて伸びる末梢神経(まっしょうしんけい)のこと

**ブロック注射:痛みがある部位の神経付近に麻酔薬を注射し、痛みの伝達を遮断する

原因

梨状筋に繰り返し負担がかかると、筋肉が硬くなったり、瘢痕(はんこん)組織*が坐骨神経を圧迫したりして、痛みやしびれが生じます。

梨状筋に負担がかかる原因として、長時間の座位や中腰の姿勢を取ること、具体的には運転、デスクワーク、草むしり、ゴルフなどの一部のスポーツが挙げられます。

*瘢痕組織:損傷した筋肉が治癒する過程でできあがった組織。筋肉のかさぶたのようなもの

症状

お尻の外側、太ももやふくらはぎの裏にかけて、痛みやしびれなどの症状がみられます。

そのほか、梨状筋部を手で圧迫すると、硬くなった筋肉をコリコリと触れる場合があります。また、座位や中腰など梨状筋に負担がかかる姿勢を取った際に、症状が強く現れる傾向があります。

これらの症状は椎間板ヘルニア狭窄症(きょうさくしょう)でも生じるため、鑑別診断が重要となります。

検査・診断

徒手検査を中心に、状況に応じて神経描出MRIや坐骨神経造影、造影CT検査などの画像検査、電気生理学的検査、診断的ブロック注射などを行います。

徒手検査

徒手検査では、股関節(こかんせつ)や脚を動かす、押すなどして梨状筋に一定の負荷をかけ、痛みやしびれを生じる範囲や、どのような状況で症状が強くなるのかを調べます。

画像検査

非侵襲的(ひしんしゅうてき)な超音波(エコー)、CT、MRIなどの画像検査を行い、梨状筋が厚くなっているか、坐骨神経が萎縮しているかを確認します。

梨状筋症候群と似たような症状が生じる病気として、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアなどが挙げられます。これらの病気と鑑別するために画像検査の結果を診断に用います。

電気生理学的検査

電気生理学的検査は、筋肉や神経に電気刺激を与え、その伝導速度や筋電位の反応から病気を調べます。検査にはさまざまな方法があり、痛みやしびれを引き起こす原因になっている部位の特定を目的とした“筋電図検査*”や、筋疲労の程度を調べる“反復刺激検査**”などが挙げられます。

診断的ブロック注射

痛みがある部位の神経付近に麻酔薬を注射し、痛みが遮断されるかを確認します。

*筋電図検査:手足の皮膚に電極を貼る、または専用の針を用いて直接筋肉に電気刺激を与え、筋肉や末梢神経の病気がないか調べる検査。

**反復刺激検査:皮膚の上から電極を貼り、その部分の筋肉を動かす神経を刺激して筋肉の疲労状態を調べる検査。

治療

梨状筋症候群の治療には、大きく分けて保存療法と手術の2つがあります。

保存療法

保存療法とは、手術以外の方法で症状を和らげる治療法のことを指します。

内服薬(飲み薬)や脚のストレッチによって症状の緩和が期待できます。症状が強いときには、梨状筋に直接局所麻酔薬を注射する“神経ブロック療法”を行うケースもあります。

手術

痛みやしびれなどの症状が強い、または歩く、座るなど日常動作が困難なケースでは、坐骨神経の障害がどの程度生じているのか慎重に判断しながら手術を検討します。

手術としては、坐骨神経を圧迫しない程度まで梨状筋の一部を切除する“梨状筋切除術”を行います。

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