みなまたびょう

水俣病

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

水俣病とは、熊本県八代海沿岸及び新潟県阿賀野川流域において発生した公害病のひとつです。高度経済成長にあった日本で発生し、1956年5月に公式発見されました。第二水俣病、四日市喘息イタイイタイ病と並び日本における4大公害病のひとつに数えられます。

水俣病は、メチル水銀が工場排水に混じって環境中に排泄され、これらを多く取り込んだ魚や貝をヒトが摂取したことで発生しました。しかし、メチル水銀が原因だと判明し、環境に配慮した対策がとられたのは1968年のことで、多くの方が水俣病に罹患する事態となりました。

メチル水銀の排泄に関して整備が行われて以降、発生の大元になった水俣湾流域を含め、2018年現在の日本においては基準値を超えるメチル水銀は確認されていません。

原因

メチル水銀はビニールの原料であるアセトアルデヒドをつくる過程で発生しますが、高度経済成長期の日本においては、このような物質への対策が遅れており、環境中に多く排泄されることになりました。

海水中に排泄されたメチル水銀は、魚や貝、エビなどの魚介類の中で食物連鎖を介して蓄積されます。その後、メチル水銀を体内に蓄えた魚介類を人が食べ物として摂取すると体内でメチル水銀が蓄積することになり、水俣病が発症します。

体内に取り込まれたメチル水銀は、毛髪を通して徐々に体外に排泄されますが、多くは神経を障害し、治すことのできない神経症状をもたらすようになります。水俣病は遺伝することやうつることはありません。ただし、妊娠中の母親がメチル水銀を摂取することで胎盤を介して胎児にもうつることがあります。

症状

メチル水銀が、特定の神経に障害をもたらす結果、さまざまな神経症状が現れます。主に、感覚や運動、体幹のバランス、視覚・聴覚に関係する部位が障害を受けます。具体的には、感覚障害として手足にじんじんとするしびれを感じたり、触られた感じや痛み・熱などを感じにくくなったりします。

運動障害としては真っすぐ歩けない、ボタンをかけることができない、日常動作がぎこちなくなる、などがあります。また、言葉が不明瞭になったり、相手のいっていることが聞こえにくくなったりします。視覚に対する影響として、視野が狭くなることも特徴的な症状のひとつです。

症状の出方には個人差があり、感覚障害を認めるだけの方もいれば、複数の症状が重なって生じることもあります。重篤な場合には、亡くなる方もいます。

検査・診断

神経学的には、水俣病で出現しうる口周囲の触覚や痛覚の感覚障害、舌の二点識別覚の障害、求心性視野障害などを確認します。

また、指定された期間、特定の地域に居住し、メチル水銀に対しての暴露を受けたことを証明することも必要です。赤ちゃん筆などの毛髪や臍帯(さいたい:へその緒)などを用いて、当時をさかのぼる形でメチル水銀を測定することもあります。

治療

水俣病で障害を受けた神経障害は治療できません。そのため、治療の基本は神経機能を回復させたり残存機能を最大限発揮させたりするためのリハビリテーションや作業療法が中心になります。けいれんや不随意運動がある際には、症状緩和のための薬物が対症療法的に使用されます。

また、急性期には体内のメチル水銀の排泄を促進するためのキレート剤使用や透析などが行われますが、一度起きた神経障害に対しての効果は乏しいです。

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