治療
涙嚢炎の治療方法は、先天性鼻涙管閉塞から生じる涙嚢炎と後天性鼻涙管閉塞から生じる涙嚢炎で異なります。
先天性鼻涙管閉塞の場合
新生児に生じる先天性鼻涙管閉塞では自然治癒も期待できますが、目ヤニが多いときは抗菌薬(目薬)を使用したり、涙嚢部分を皮膚の上からマッサージしたりすることによって詰まりの解消を促すこともあります。
これらの治療を行っても涙道の詰まりが解消されない場合、涙点から細い針を差し込んで閉塞の原因になっている膜を破る鼻涙管開放術が検討されることもあります。ただし、自然治癒が期待できる病気であること、また年齢によっては全身麻酔が必要になることから、治療の適応や時期についてはさまざまな意見があります。
後天性鼻涙管閉塞の場合
高齢者によくみられる後天性鼻涙管閉塞による涙嚢炎では、点眼だけでなく、点滴や内服による抗菌薬の投与が検討されます。膿がたまっている場合は炎症部分に針を刺して膿を排出することもあるほか、原因や症状によっては以下のような手術を行います。
鼻涙管開放術・涙管チューブ挿入術
鼻涙管が狭くなっている場合、先天性鼻涙管閉塞と同様の鼻涙管開放術によって涙道を開通させ、そこに細いチューブを入れることにより、再び涙道が詰まることを防ぐ治療を行います。チューブは2〜3か月ほど入れたままにしておき、涙道が正常に戻ったら抜き取ります。
涙嚢鼻腔吻合術
涙管チューブ挿入術では治癒できない場合やチューブを抜き取った後に再発するような場合などには、涙嚢鼻腔吻合術と呼ばれる手術を行います。この手術は、鼻の骨を削って涙嚢と鼻腔をつなぐことで、詰まった鼻涙管を通らなくても涙が鼻腔へ抜けていくようにする方法です。
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