るいのうえん

涙嚢炎

同義語
涙のう炎
最終更新日:
2023年09月07日
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2023/09/07
更新しました
2017/04/25
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概要

涙嚢炎(るいのうえん)とは、涙を鼻へと排出する涙道が詰まることにより、本来鼻のほうへ流れるはずの涙が涙道の一部である涙嚢にたまり炎症を引き起こした状態です。初期段階では目ヤニや涙目などの症状がみられ、徐々に炎症部分の赤みや腫れ、痛みなどの症状が現れます。涙はまぶたの上にある涙腺と呼ばれる部位で作られます。涙の役割はさまざまで、目に潤いや栄養を与えたり、ほこりなどの異物を洗い流したりするほか、感染を防ぐ役割も担っています。

通常、涙は目頭にある涙点から涙小管、涙嚢、鼻涙管を通って鼻腔へ流れます。この流れが何らかの理由でうまくいかなくなると涙嚢に涙がたまり、たまった涙に細菌が繁殖することで炎症が起こりやすくなります。なお、涙嚢炎は新生児と高齢者によくみられるものの、それぞれ原因は異なります。

原因

涙嚢炎の主な原因は、鼻涙管閉塞(びるいかんへいそく)(涙道の一部である鼻涙管が塞がること)です。鼻涙管が塞がる原因は患者の年齢によって異なります。

先天性鼻涙管閉塞――新生児の場合

新生児にみられる先天性鼻涙管閉塞は、本来生まれるときにはなくなっているはずの鼻涙管の膜が残った状態で生まれてくることによって起こります。

後天性鼻涙管閉塞――高齢者の場合

高齢者によくみられる後天性鼻涙管閉塞は、主に加齢によって鼻涙管が狭くなることが原因で起こります。そのほか鼻涙管を狭める原因としては、鼻腔内の炎症や外傷腫瘍(しゅよう)による圧迫などが挙げられます。

症状

涙嚢炎では、目ヤニや涙目のほか、目の痛みなどがないのに涙がこぼれるといった症状がみられます。

炎症が進行すると、涙嚢のある目頭部分の皮膚に赤みや腫れ、痛みが生じるようになります。また、涙嚢を軽く押すと涙点からが出てくることもあります。

検査・診断

前述のような症状がみられた場合は、涙道の詰まりの有無を確認するために、涙点から水を入れてその流れを観察する涙道通水検査を行います。ほかにも一般的な眼科検査や、必要に応じて画像検査や細菌検査を行うこともあります。

涙道通水検査

生理食塩水を涙点から注入し、それが涙道を通って鼻から排出されるかどうかを確認する検査です。鼻から排出されない場合には、涙道がどこかで塞がっている可能性が考えられます。

画像検査

涙道が塞がっている理由として、鼻の病気や、ごくまれに起こる涙嚢や副鼻腔(ふくびくう)内の腫瘍が考えられる場合は、頭部CT検査やMRI検査が行われます。

細菌検査

腫れている部分の皮膚に針を刺してを採取し、細菌検査を行って原因菌を特定する場合もあります。抗菌薬を用いた治療を行う場合、原因菌が分かっていたほうがより効果的な薬を選択できる可能性があります。

治療

涙嚢炎の治療方法は、先天性鼻涙管閉塞から生じる涙嚢炎と後天性鼻涙管閉塞から生じる涙嚢炎で異なります。

先天性鼻涙管閉塞の場合

新生児に生じる先天性鼻涙管閉塞では自然治癒も期待できますが、目ヤニが多いときは抗菌薬(目薬)を使用したり、涙嚢部分を皮膚の上からマッサージしたりすることによって詰まりの解消を促すこともあります。

これらの治療を行っても涙道の詰まりが解消されない場合、涙点から細い針を差し込んで閉塞の原因になっている膜を破る鼻涙管開放術が検討されることもあります。ただし、自然治癒が期待できる病気であること、また年齢によっては全身麻酔が必要になることから、治療の適応や時期についてはさまざまな意見があります。

後天性鼻涙管閉塞の場合

高齢者によくみられる後天性鼻涙管閉塞による涙嚢炎では、点眼だけでなく、点滴や内服による抗菌薬の投与が検討されます。がたまっている場合は炎症部分に針を刺して膿を排出することもあるほか、原因や症状によっては以下のような手術を行います。

鼻涙管開放術・涙管チューブ挿入術

鼻涙管が狭くなっている場合、先天性鼻涙管閉塞と同様の鼻涙管開放術によって涙道を開通させ、そこに細いチューブを入れることにより、再び涙道が詰まることを防ぐ治療を行います。チューブは2〜3か月ほど入れたままにしておき、涙道が正常に戻ったら抜き取ります。

涙嚢鼻腔吻合術

涙管チューブ挿入術では治癒できない場合やチューブを抜き取った後に再発するような場合などには、涙嚢鼻腔吻合術(るいのうびくうふんごうじゅつ)と呼ばれる手術を行います。この手術は、鼻の骨を削って涙嚢と鼻腔をつなぐことで、詰まった鼻涙管を通らなくても涙が鼻腔へ抜けていくようにする方法です。

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