治療
涙腺腫瘍では、画像検査を中心とした諸検査で腫瘍の種類を推測し、それに応じた治療を行います。
腫瘍の種類を確定するには、腫瘍の一部を切除する生検や、腫瘍を全部取り除く全摘出など、いずれかの手術療法を行い、摘出した組織を用いて病理組織学的検査が必要となります。涙腺に発生する腫瘍なので、手術療法は通常、眉毛の下の部分の皮膚を切って腫瘍を摘出または生検します。
悪性リンパ腫の治療
悪性リンパ腫が疑われる場合には、腫瘍の一部を切除(生検)して、一般的な病理組織学的検査のみでなく、フローサイトメトリーなどの特殊な検査も行います。悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球が腫瘍化した病気であるため、治療は血液内科での化学療法や放射線療法が中心となります。
IgG4関連疾患の治療
IgG4関連疾患を疑う場合も生検をおこない、病理組織学的検査で特殊な染色を行います。治療はステロイド剤の全身投与が著効しますが、再発することも珍しくなく、長期に及ぶステロイド治療が必要となることがあります。
多形腺腫の治療
多形腺腫は再発や悪性化を起こすことがあるため、多形腺腫が疑われる場合には、生検や部分切除は行わず、一回の手術で腫瘍の全摘出を行う必要があります。
腺様嚢胞癌の治療
腺様嚢胞癌などの非常に悪性度の高い腫瘍では、周りの組織への浸潤傾向が高いので、腫瘍と思われる部分のみの摘出にとどまらず、眼窩内の組織をすべて除去(眼窩内容除去)しなければならない症例や、重粒子線治療という特殊な放射線治療を行う症例もあります。
涙腺にはさまざまな種類の腫瘍が発生し、腫瘍の種類によっては手術療法以外の治療が中心となるため、適切な検査、治療計画が必要となります。
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