検査・診断
眼内悪性リンパ腫の診断基準として国内外で定まったものはありませんが、眼科の検査で眼内悪性リンパ腫が疑われる場合、現状では以下のように診断が行われることがあります。
まず硝子体手術によって眼内液を採取し、悪性細胞がないか顕微鏡で調べる細胞診が行われます。Class IV(強く悪性を疑う細胞)かⅤ(悪性細胞)、もしくはセルブロック法と呼ばれる方法で悪性リンパ腫と病理学的に診断されれば確定診断となります。細胞診は昔から信頼できる検査法と考えられてきましたが、眼内悪性リンパ腫では病理学的な確定診断が非常に難しいとされており、偽陰性となる例が30%程度といわれています。
上記の細胞診で確定診断とするのが難しい症例では、眼内液を検査した結果、以下の5項目中2項目以上が陽性であった場合に眼内悪性リンパ腫と診断されます。
(1)細胞診でclass III(良性・悪性どちらとも判断できない細胞)となる
(2) IL-10とIL-6という物質の濃度を比べて、IL-10の値がより高くなる
(3)IgHモノクローナリティー検査の結果、1種類の細胞のみが増殖している
(4)フローサイトメトリーという測定の結果、CD19かCD20と呼ばれる物質の値が高い、もしくは細胞表面のタンパク質を構成するγ鎖およびλ鎖の陽性率がどちらか片方に偏っている
(5)MYD88もしくはCD79Bの遺伝子変異が認められる
眼内悪性リンパ腫と診断がついた場合には、病気の進行度を判断するステージングのために、脳のMRI検査、全身の造影CTまたはPET-CT、および骨髄生検、髄液検査が行われます。脳に病変がある場合や、全身性の病変がある場合などは、治療法や予後が変わるため、眼科と血液内科が連携することが重要です。
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