概要
眼瞼けいれんとは、自らの意思とは関係なく目の周囲の筋肉がけいれんする病気です。
発症初期にはまぶたがぴくぴく動く、まばたきが多くなる、光をまぶしく感じるといった症状が現れ、これらの症状はだんだんと悪化する場合があります。なお、重症例では、目を開けることが困難になるケースもあります。
主な治療法として、ボツリヌス療法や特殊な眼鏡の装着があります。
原因
眼瞼けいれんの発症原因は、明らかになっていません。
まれに、角膜異物や睫毛乱生(さかさまつげ)など目の刺激感を引き起こすような状態、あるいはパーキンソン病など不随意運動を引き起こす全身性神経疾患に続発して起こることがあります。また、40歳未満の場合、向精神薬や睡眠薬の長期内服など薬の影響で眼瞼けいれんを発症する事例が多いと考えられています。
なお、疲労や緊張といった精神状態や、明るい光などによって症状が悪化する傾向があります。
症状
眼瞼けいれんでは、両目のまぶたが自分の意思とは関係なくけいれんを起こし、症状が進むとまぶたが開けづらくなります。
発症初期には光をまぶしく感じる、目を開けているのがつらい、まばたきが増えるといった症状が起こります。そのほか、目に異物感が生じたり、乾燥を感じたりすることもあります。
重症化すると、まぶたを開けることができなくなったり、顔面のけいれんを合併したりすることがあります。視力の低下につながることはないといわれているものの、まぶたが開けづらいために日常生活に支障をきたす恐れがあります。
検査・診断
眼瞼けいれんの診断では、まぶたを開閉する動きやまばたきの仕方などを確認します。
また、一時的にけいれんを誘発し、眼瞼けいれんが生じているかを確認する随意瞬目テスト、ドライアイ所見を確認する涙液検査などを行います。
治療
症状を和らげるために以下のような対症療法が行われます。
ボツリヌス療法
目の周囲の筋肉にボツリヌス毒素(筋肉を緩める作用のある薬)を注射して、筋肉の異常な動きを抑える治療法です。眼瞼けいれんの治療に有効であるといわれていますが、3~6か月ほど経過すると治療効果が薄れるため、繰り返し治療を受けたり、ほかの治療を並行して行ったりする必要があります。
ただし、重症筋無力症といった全身性の神経筋接合部の病気がある人や妊婦などには行うことができません。
遮光眼鏡・クラッチ眼鏡
眼瞼けいれんによる症状を抑えるために、特殊な眼鏡を装着する場合もあります。
具体的には、光がまぶしいと訴えている患者には遮光眼鏡を、まぶたが開かないことで困っている患者には、まぶたを支えるワイヤーやパッドなどのついたクラッチ眼鏡を用いることが有効とされています。
外科的治療
ボツリヌス療法で治療の効果がみられない、あるいは効果が弱い場合には外科的治療(手術)が検討されます。手術を行うことで、ボツリヌス療法の効果を高めたり注射の間隔を延長したりすることが期待できます。
しかし、手術直後は症状が改善したとしても、その後症状が再燃する症例が多いため、手術を行うかどうかは慎重に判断する必要があります。
原因となる薬の減量・中止
向精神薬や睡眠薬などの影響で眼瞼けいれんが起こっている場合には、その薬を減量、あるいは中止することで症状が改善するケースもあります。ただし、このような投薬コントロールを行う場合には医師の指導の下で行うことが重要です。
予防
これといった予防法はありませんが、眼瞼けいれんでは目が乾燥したり物がかすんで見えたりするなど“ドライアイ”のような症状が現れるため、これらの症状が当てはまる場合には早めに眼科を受診することが大切です。
また、症状の誘発や悪化を防ぐためにも、疲労やストレスをため込まないよう心がけましょう。
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